第135話 鴨どちの三三五五や昼の川

 

 

 

 

 ひと口に川と言っても場所によって流れの急なところと緩やかなところがあり、冬の水鳥たちの多くは、比較的川岸に近い、藻草が豊富な場所に集まっています。


 グループというか縄張りというか、それなりの掟があるようで、20~30羽がひとかたまりになり、同じ場所で泳いだり、首をねじって浮寝鳥になったり……。


 冒険心に富んだ若鳥たちは、ときどき真ん中の本流に浮かれ出て行き、速い流れに乗って一気に下流へ流され、小さな滝を滑り降りたりして遊んでいるようです。

 

 

                🐣

 


 しばらくすると羽を広げて飛び立ち、先刻の浅瀬に降り立つと、何事もなく元の群れにもどり、ときどき「キュ」とか「ピピ」とか、小さな声を出しています。

 

 川面を吹く風は身を切る冷たさなのに、穏やかな日差を浴びた水鳥たちの羽は油でも塗ったみたいにピチピチに輝き、冬という季節を存分に楽しんでいるようで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る