第131話 直されぬ蔵のシートに冬三日月


 

 

 

 ハジメの店舗兼家の近くに、10年前の直下型地震で崩れかけた蔵があります。


 よく行くカフェの窓から国道越しに見えるのですが、応急処置のブルーシートをいたずらに風にはためかせ、いくつの春夏秋冬を重ねて来たことか……。( *´艸`)


 広大な敷地の随所に、かつての暮らしぶりの片鱗がうかがえそうですが、住人もいないらしい現在は荒れるに任せ、蔵そのものが無常の象徴になっているようで。

 

 

                🌙

 

 

 飲食なしの商店会の新年会の帰路、国道で信号待ちをしていたハジメは、破れたブルーシートに、尖った三日月が煌々と青い光を放っている場面を目撃しました。


 コロナ不況で地場産業も大きな打撃を受け、歴代の味噌屋を営んでいるハジメも店を閉じようかどうしようか悩んでいましたが、ワクチン接種が始まったら景気も回復するだろう、それまで店を守り抜こうと決意を新たにしました。( ^^) _U~~~~


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