第121話 一年をラジオにゆだね煤湯かな


 

 

 

 パンパンと折り畳めば段ボールのようになりそうな小庵住まいのツキコは、毎日の掃除で十分に事足りて、年末といっても大掃除をする場所もありませんが、世間さまが煤払いと呼んでいる時節には、一応それっぽく装ったりしてみます。(^_-)-☆


 で、その夜、湯船に浸かっていますと、ラジオから聴こえて来たのは井上陽水の「リバーサイドホテル」。独特なリズムを口ずさみながら、ツキコは経営していた小さな事務所の朝礼を懐かしく思い出しました。昔語りを好まないツキコですが、気の合ったスタッフたちのことは、むしろ進んで思い出したいくらいで。(*^▽^*)

 

 

                 📻

 

 

 いまから思えば、あるいは迷惑だったかもしれませんが(笑)、毎朝の朝礼は、3つのパーツに分けていました(すみません、すべては社長のツキコの好みで)。


 Vol.1 当番の3分スピーチ。仕事に関係ないことをエッセイ風に話します。

 Vol.2 歌。当番が選んで来た楽曲(ポップスが大半)をアカペラで斉唱。

 Vol.3 トレーニング。ツキコがジムで教わった筋トレをスタッフに伝授。


 そのうえ、週に一度は近くの公園までジョギングに出かけていたのですから、やっぱり相当に迷惑でしたよね。スタッフのみなさん、ごめんなさ~い。(^_^;)

 

 

                 🏃

 

 

 で、Vol.2の歌のパートのとき、陽水の「少年時代」「心もよう」なども歌ったのです。さすがに「リバーサイドホテル」を用意して来る強者はいませんでしたが。


 あのころは楽しかったなあ……いろいろあったようななかったような2020年も残すところわずかという静かな宵、ツキコは久しぶりに懐古にひたっています。

 

 

                 💼

 

 

 ところで「ツキコ」と書いて思い出しましたが、同名のヒロインが登場する川上弘美さんの『センセイの鞄』、あのころのツキコが、一番好きな文芸作品でした。


小泉今日子主演の映画もよかったな~。というか、いまも好きですよ~。📖 🎦

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