第114話 滅茶苦茶に吹かるる庭の寒雀

 

 

 

 

 通り道になっているのか、ハチロウ宅の小さな庭はときとして、縦横無尽に吹き荒れる木枯しに、赤い実を付けたそよごも、渋い色に枯れた紫陽花も、艶々した葉を光らせて春を待つ沈丁花も、みんないっせいに千切れ飛ばされそうになります。


 ヒューヒュー鳴って大きく波打つ電線を避け、狭庭のささやかな葉蔭に避難して来た雀たちが、丸い目をキョトキョトさせて打ち震えているのもそんなとき。👻

 

 

                   🍃

 

 

 温かな室内にいる身を申し訳なく思いながら、はるか太古のむかし、自然の摂理に逆らえず心細い暮らしを強いられていた遠い祖先に思いを馳せるハチロウです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る