第105話 木枯の木枯を押す野面かな
さえぎる一木とてない冬野を行くとき、シューベルトの『冬の旅』に謳われた、街を捨ててさすらいの旅をつづける失意の若者の孤独を思わずにいられません。
🎻
吹きすさぶ木枯しに押される背、その木枯しをつぎの木枯しが押し、さらにつぎの木枯しが押して、押して、押して……自然の非情は限りがありませんが、せめて凍えた若者が扉を叩いたら温かく迎え入れる、そんな存在になれたらいいですね。
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