第104話 千姫の疑心暗鬼や雪もよひ

 

 

 

 

 歴史小説を書いていると、主人公への思い入れが強くなりがちなケイコですが、昨今の脳裡に棲みついているのは、戦国から江戸期の波乱に生きた千姫の面影。


 夫・豊臣秀頼と姑・淀ノ方の命乞い&豊家ほうけの存続を懇願するため、戦乱の渦中の大坂城を脱け出した千姫(2代将軍・秀忠と御台所・お江ノ方の長女)ですが、策謀家の祖父・家康のだまし討ちにより、命を賭した訴えはついに適えられず……。

 

 

                 🏯



 いつまでも贖罪に悩みつづける千姫に「こより(秀頼)で結わえし袋(淀ノ方)をば 打ち捨つるとは如何にせん(千姫)」当てこすりの俗謡で囃し立てる、徳川憎し豊臣恋しの大坂の地熱が牙を剥いておそいかかり、さらなる疑心暗鬼地獄に。


 錯乱の末、怪しげな呪術や祈祷に頼るようになった千姫の苦悶は、すなわち筆者=語り部の煩悶となり、400年前と現代を行ったり来たり中のケイコです。👘

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る