第98話 院庭に紅ぽつちりと冬の薔薇

 

 

 

 

 心を病んだチヤコがもっとも苦しかったとき、その苦しみにいっそう追い打ちをかけて来たのが、知人から送られて来た暴露的な内容のタレント本。それも5冊!


 どの本も揃って「われこそ正義なり!」声高に主張しているような書名と装丁、推敲不足で冗長な話し言葉の分だけ分厚い頁数などに圧倒されながら、せっかく送ってもらったんだから感想を述べなければと義務感に駆られて(へんに生真面目なチヤコは、こういうとき決まってこう考えます)読み始めたのですが、案の定、見る見る症状が悪化していき、しまいには夜も眠れなくなって……。( *´艸`)

 

 

                 📚

 

 

 心療内科に駆けこむと、さっと眼鏡を曇らせた主治医の先生、語気鋭く曰く、

 

 ――精神医療に素人のタレントがテレビでの知名度を利用して金儲けを企み、ゴーストライターに書かせた、または売らんかなのベテラン編集者の手が大幅に入ったハウツー本など百害あって一利なし。手元に置いておくだけで有害です!

 

 さっそくその日のうちに返送しましたが、負の本のかたまりが放つ邪悪なオーラに追い詰められた期間の恐怖心が、いまだに忘れられないチヤコです。(;´д`)

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