第91話 純白のコートひらりと居酒屋へ


 

 

 

 

 海外の赴任地から帰国した若い友人とは、街の居酒屋で待ち合わせました。

 山脈のふもとの小都市は、降雪量は少ないのですが、寒さときたら格別で。

 寒冷地用の黒のダウンコートを着たケイコは、ほぼ里に下りた熊で。(笑)

 

 

              Illumination

 

 

 早めに到着したケイコが、女将さんに案内されたカウンター席で待っていると、1羽の白鳥が藍暖簾をくぐって、ひらりと入って来た……と思ったら、スレンダーな美しい肢体に目も覚めるような純白のロングコートをまとった当の友人で、その洗練された着こなしに、馴染みの女将さんとふたり同時に驚きの目を瞠りました。


 かれこれ10年前の光景ですが、国際機関で働く友人はいまもヨーロッパの某国に赴任中。つぎに帰国したら、またあの店でねという約束になっているのです。🍶

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