第76話 解体の窓枠四角冬の月
近所のコンビニへ、ぶらりとサンダル履きで行く、もちろんスッピンで。👡
それは、仕事用のパンプスしか履いたことがないコノハのささやかな楽しみ。
――ああ、なにものにも縛られないって、いいな~。
🏠
日曜日の午後7時、履き慣れたKaepaのサンダルをつっかけ、クレジットカードと手拭いで縫った簡単マイバッグを持ち、なるべくのんびりゆっくり歩いて行くと、
――ん?
見慣れた風景に異変が起こっていて、あるべき場所にあるべき家がありません。
解体の残滓が散らばる古い家屋に、きっちり真四角な窓枠だけが残されており、その真ん中に満月が、まるでキャンバスに置かれたように煌々と光っています。
――たしかこの家には、ひとり暮らしの女性が住んでいたはずだけど……。
壊された家に刻まれた長い歳月と知らない家族史に思いを寄せたコノハは、絵のような満月が見られた、いまこの瞬間の偶然にも、ひとつの縁を感じていました。
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