第73話 戦国の姫の哀哭蔦紅葉


 

 

 

 

 嫉妬という感情と縁遠くなっているケイコですが、物語の世界はまた別ものでして、ヒロインと同化して喜んだり涙に暮れたり、読書の醍醐味を満喫しています。


 たとえば、父や兄、弟、ときには息子など、男たちの政争の具に使われた戦国の姫たちの中でもとりわけの有為転変を味わった茶々(淀ぎみ)が、父母や兄の仇である秀吉の側室(一節では正室のひとり)にされてから、正室の北政所や他の側室たちに対し、本物の恋愛のような嫉妬を覚えるに至る複雑&面妖なプロセス……。


 尋常とは思われない心の変容が不可思議に思われる一方、とりあえず今日を生きねばならない弱い人間のひとりとして、理屈抜きの共感を覚えずにいられないのですが、それはひとえに作者の筆力の成せる技であることは言うまでもありません。

 

 

                ✒

 

 

 ここだけの話ですが、趣味として歴史小説を執筆しているケイコは、そんな作家たちの力量に対してだけは、いまだにかすかな嫉妬を覚えたりするのです。(^_^;)

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