第66話 日を恋うて一途に恋うて冬菫
よく日の当たる玄関先に、真っ白な丸いプランターがひとつ。
春が進むと、丈や色を考えて夏咲きの花ばなを寄せ植えする。
秋が深まると、ビオラやパンジーに植え替えて来春に備える。
作業とも言えない作業が、マアサの年中行事になっています。
🌺
西方に3,000m級の山並みを連ねるこの地方都市では、秋植えのスミレは寒さや雪に鍛えられて強くなり、翌春、大きくあでやかな花を咲かせると言われています。
人間も同じで……などと、説教じみたがる野暮をマアサは歓迎しません。(;'∀')
――どの花びらも温かな陽光に恵まれますように。
ひたすらそれだけを願い、朝に晩に「可愛いね、けなげだね」と声をかけたり、ときどきプランターの向きを変えて、黄色にも白にもダークピンクにも紺にも紫にも満遍なく日が当たるようにしてやったりして見守っている、ただそれだけ。🌞
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