第65話 ぽつつりと難路の村の木守柿
犀川沿いの村々は、鉄道からも高速道路からも遠く、陸の孤島状態にあります。
江戸時代のむかしは善光寺街道中でも最悪の難路で、懸崖絶壁の岩の随所に打ちつけられた落下防止用の鎖あとが、当時の旅人の難渋をいまも物語っています。
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たびたびの蛇行により水が堰き止められやすい川の氾濫で、甚大な被害を受けてきたこの村には、人柱を立てて川の怒りを治めようとした伝説が残されています。
現在は地元産の農産物を置く鄙びた「道の駅」が人気で、犀川に忠実なカーブがドライバー泣かせの国道には、けっこうな車の通行がありますが、そこから一歩入った木橋のたもと、ちょうど人柱がくくりつけられた辺りの柿の木に、烏も食べ残した赤い実が、ぽつんとひとつ残されている風景を知る人は少ないようです。
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