第22話 生真面目に樋を伝ひて秋時雨



 

 

 はい、自分、上がりました。


 すると、ここんちの奥さんが外へ出て来て、屋根を見上げてノタマウには、

 

 ――あんた、たかが時雨なんだから、わざわざ樋を流れなくてもいいのに。

 

 本格的な雨じゃないんだから、その辺に適当に降り散らかしておけばいい。


 そういうことのようです。



 けど、あいにく自分、いたって不器用な性質でござんして。


 雨の末流としては、樋を流れなけりゃ気が済みませんでね。


 相すみませんです、はい。

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