第11話 群れ咲ける桔梗ゆるく束ねたり




 

 生きていれば、多かれ少なかれ、だれもがそうだと思いますが、心の奥底に深い哀しみを抱えているノゾミには、嗚咽しながら目覚める朝が、ときどきあります。


 自分の泣き声で飛び起き、うとうと夢の痕跡をたどっているうちに内容は忘れてしまい、ただ桔梗色をした哀しみだけが、ぽつんとシミのように取り残され……。


 

             🌸          🌸

 


 でも、ある研究者のエッセイで、

 

 ――人間が見る夢の大半は悪夢。

 

 と知ってから、自分だけがとくべつなわけではない、と少し安堵しています。

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