第2話 リアル・ディズニーランド
夢の国ディズニーランド。実際に、ディズニーランドにいくより、夢の中でディズニーランドに行ったほうがよりリアルなんじゃないか。現実のディズニーランドって結局ハリボテに囲まれている。でも、夢の中のディズニーランドは一切ハリボテなんかない、リアル・ディズニーランドなんじゃないか。と矛盾することを言ってみる。
これは、俺が幼稚園の頃の話。俺の幼稚園時代のインドアな遊びは、ディズニーランドのガイドブックやディズニーランドのパーク内を紹介するビデオを見ることだった。見るだけで、行った気になっていた。やっぱり、この時から想像の中のディズニーランドのほうがリアルだったんだ。そんな遊びを繰り返しながら、日々過ごしていた。
ある日。俺の誕生日が来た。何歳の誕生日かはちょっと覚えてない。その日、起きたら、お父さんが「おい、いくぞ、支度しろ」と満面の笑みで言ってきた。なんかお母さんも満面の笑み。これは、いいことに決まっている。そう確信できるものだった。あれよあれよという間に、リュックサックを背負わされ、車に乗った。車はセダン。背もたれには、花柄の白い布がかぶせられていた。今思えば懐かしい。
しばらく、走って高速に乗った。パーキングエリアで、食ったあったかいそばが美味かったな。なんで、パーキングエリアで食う麺類はあんなにもうまいのか。幼稚園生ながらに考えていた。車で食べるように、メロンパンも買った。やっぱりパーキングエリアで買うメロンパンは格別にうまい。
そういえば、どこに行くのか聞いていなかった。
「ねえねえ、どこにいくの?」
「それはな・・・」
お父さんがためて言おうとしたのに、お母さんが早とちりをする。
「ディズニーランドよ!」
「うえーーーー!やったーーー!」
絶叫した。人生でこんなにうれしかったのは、この時くらいだろう。俺の人生、最高潮の日だったかもしれない。お父さんは、すこし苦い顔をしていた。せっかくの行先発表をお母さんに奪われたから。俺はしばらく、座席の上で飛び跳ねていた。
ぴょんぴょん飛び跳ねて、頭を車の天井にぶつけた。一瞬、目の前が暗くなった。目をあけたら、家の天井がみえた。ちゃんちゃん。
まあ、この夢から学べることは、パーキングエリアの食い物は格別にうまいってことでしょう。
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