変な夢から人生訓

@TOSHI-TR

第1話 地球から水があふれる

 変な夢を見る。俺の夢はとりわけ変だ。こう思ってるのは、俺だけじゃないきっとみんな思ってる。夢をみない人なんてのもいるみたいだ。俺の周りでは、夢の話を頻繁にする人は少ない。対して、俺はよく見た夢の話をする。


 これは、中学生の時に見た夢。危うくおぼれそうになった。


 夢のはじまりは暗闇。まあ、寝てるんだからずっと暗闇は見てるよね。みんな夢で暗闇をみたことはあるでしょ。だって、目をつむっているんだから。


 そんで、しばらくすると、下から、ぐわっぐわっとでっかい地球が浮いてきた。俺も一緒に浮いていくのかなと思ったら、案外俺は定位置だった。どうやら、この夢は定点観測タイプのやつらしい。夢って、自分が異世界を跳んだり、走ったりするようなやつもある。どっちかというと、俺は跳んだり、走ったりしたい派だ。だって、楽しいじゃん。


 地球がぐわっぐわって浮いてきて、俺の目の前に留まった。あ、地球は全体がみえているよ。そしたら、下から今度は大判の本が浮いてきた。ハードカバーで、ひものしおりなんかもついているやつ。本は地球とおんなじサイズ。ああ、これはすげえでかいなって、単純に思った。


 地球から急に、大量の水が、ドバドバあふれてきた。というか、こぼれてきた。大量の水は滝みたいに流れて、本の中に吸い込まれていった。本には、英語なんだか、スペイン語なんだか、ヘブライ語なんだか、よくわからない文字がたくさん書いてあった。本は、ひたすら地球の水を吸い込んでいった。


 夢はこれで終わり。変な夢を見ると、意味を探したくなる。地球から水が滝のように流れて、本の中に吸い込まれていく。どんな意味だろう。


 きっと、水は地球にあふれる人間の知。地球は知識の泉。泉の水は、地球を循環している。人間の知は人と交換したり、いろんな媒体を通したりして伝わっていく。その流れる知が行きつくところは、人類最大の発明品「本」に収まる。本って発明されたのは、大昔。当たり前だけど。大昔、男の人は女の人を口説くために、紙を送ったなんて言われている。当時、紙はとっても貴重なもので高級なものだった。紙があれば、自分の生きた証を残せる。自分の知や思考をずっと留めて置ける代物。紙に書いて残す。これは、大昔も今もずっと同じことをやっている。パソコンが発明されても結局、みんな何かにつけて紙を使ってる。不易の部分。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る