第7話 知らない名前

 広間に響いた声はとても優しかった。

 透明感のある綺麗で美しい、音。

 他に聞く人がいれば、吸い寄せられるように広間の中へ入っていったかも知れない。

 しかし呂花おとかは。

(私は、知らない)

 〈キリュウ〉などという名前に心当たりはない。

 広間の入り口に立ったまま、中へ入ろうとしない呂花に中央の彼は言う。

「躊躇う必要はないよ。さあ、入っておいで」

 急激にわき上がった感覚が、呂花自身を驚かせる。

 これは恐怖なのか。それとも別のものなのか。

 発された音は、抗いたいのに抗えない。

 そんな妙な声。

(───違う?)

 声音が嫌なのではないのか。何が違うのか。

 胸の内には言い表せない感情だけが浮かぶ。

(ここは、何なの?)

 星社ほしやしろがこんなに得体の知れないものだったなんて、呂花は思いもしなかった。

京一きょういちはしてきたの?」

「はい」

「そう。記憶が本当にないみたいだね」

「……そのようです」

 答えながら、呂花をここまで連れてきた彼はさあ、と二御柱ふたみはしらの時と同様に呂花を促す。

 だが呂花は根が生えたように動こうとしない。

「どうしたの。中へ入っておいで」

 彼は穏やかに呂花を促す。

 呂花は動かない。

 

 呂花は体全部に力を込める。

 しばらく彼は呂花を見ていたが、苦笑すると京一、と呼びかけた。

 先に内側に入って呂花が入室するのを待っていた彼は、容赦なく呂花の腕を取ると中へと引き入れる。

 前だけを見つめて全身に力を入れていた呂花は、横から急にかけられた力に不意をつかれてよろめいた。

 足が一歩、室内に入り込む。

 あっと思うが止められない。

 上から重たい幕が一斉に落ちてきたような強い衝撃が呂花を襲った。

「───っ!!」

 呂花を中へ入れると、彼は戸を閉めて両脇に座っている人々の一番最後、左手の最後尾に加わった。

 呂花は取り残された格好でその場に立ちつくす。

「前においで」

 呂花は青ざめた顔のまま、呆然と中央のその人を見やった。

「……ひとまず、前に来てそこへ座りなさい」

 立ったままの呂花を再び柔らかい声が促す。

 呂花は不承不承ながらも人々の間を進み、彼のやや手前に置かれた白い布の、わずかに膨らみのある正方形の敷物の上に腰を下ろした。中央の一段高い場所の彼以外は、全員同じ敷物の上に座っているようだった。

 その一段階高い場所にいるということは、彼がここで一番人間なのだろう。彼のいる場所だけ畳があり、白く厚みのある座布団が敷いてあるのが見えた。

 彼の物言いは穏やかで優しいが、呂花は体にある力を総動員して構える。

 自分の身に何が起こっているのかわからないのだから当然だ。

 ましてここにいる人達は見知らぬ人々である。

 あまりに気を張っていたせいか、呂花は両脇の人々が驚いていることには気づかない。

 一つ満足そうに笑うと、中央の彼は改めて呂花を見た。

「まずは君の現在名げんざいめいを教えてくれるかな、桐佑きりゅう

 それが自分に向けて発せられているものだとはわかるが、〈キリュウ〉という名前に呂花は思い当たるものがない。

 それに、現在名とはどういうことなのか。

 黙り込む呂花に、尋ねた彼は苦笑する。

「現在の反対は。ということは、私が君に言っている桐佑という名前は、過去のものということになる。私はの君の名前が知りたいんだ」

 過去、と言われたところで呂花には更に思い当たる節がない。自分が記憶喪失だとでもいうのか。

 そこまで思った呂花の前で彼は小さく、だがどこかおかしそうに笑った。

「確かにそうだね。というのは今の君の状態からすれば、必ずしも間違いではないね」

 呂花は弾かれたように目の前の彼を見た。

 嫌な感じだ。

 まさか、そのまま頭の中を覗かれているとでもいうのか。

 奇妙な不快感に呂花はふと、目の前の彼を真正面から見据えた。

 一言も発さない呂花のその様子に、場にいた人々がはっとする。

 それは呂花を連れてきた彼も同様だった。

 呂花は何故か正面の彼を見る目に力を込める。

 自分自身どうしてなのかはわからない。

 だが、体は更に強く身構える。

 彼を強く見つめていた呂花だが一つ瞬くと、噤んでいた口をゆっくりと開いた。

「私は、見守みもり呂花おとか。今も、今までも、それ以外の人間として過ごしてきたことはありません」

 一言一言、強くかみしめるように呂花は言葉を発する。

 その言葉は、その答えは、呂花にとって紛れもない事実だ。

 他の誰かではない。自分は両親の付けてくれたこの名前しか知らない。

 周囲でいくつか息を呑む音がした。

 それらとは対照的に呂花の前に座する彼は、よりあざやかな笑みを顔に浮かべた。

 どこか嬉しそうにすら見える。

「そう」

 ぎくり、と身を強張らせながらも注意深く呂花は目の前の人物に目を向けた。

「呂花、私は水有なかなり。このやしろ社司しゃじをしているよ」

 ただ、と彼は続ける。

「その様子だと、やはり説明がいるようだね。でもとりあえずはここにいる皆を、紹介させてもらえるかな」

(紹、介?)

 そんなことよりも呂花はこの自分の混乱に対する答えが欲しい。

(私に何が起こっているのか)

 無用な紹介などはいらない。

 うつむきそうになるのを必死でこらえながら、呂花は水有と名乗った目の前の彼を見返す。

 水有はふと、先ほどとは違う笑みを口元に浮かべた。彼の青色を含んだ瞳が、揺れた気がする。

 その変化に合わせるように、呂花の体に力が入る。緩める気にはなれない。

「桐佑───いや、。君は帰ってきたんだ。それが君の疑問に対する答えのすべて。……そう、かたくなにならないで」

 再び呂花は不快感を覚える。明らかに一線を引くように眉根を寄せた。

 そんな呂花に構うことなく、軽く笑んだままの水有は澄んだ声で続けた。

「さあ。では紹介しようか」

 言って彼は自分の左手前に座る男性に目を向けた。六十代ではないと思う。五十代半ばぐらいだろうか。

「君から見て右側、私の手前に座っている彼が興輔きょうすけ過去名かこな厳利かねとし。ここにいる皆のまとめ役、境部さかいべの責任者である部長くみおさだよ」

〈さかいべ〉だの〈くみおさ〉だの、呂花にはわからない言葉だ。呂花にとって必要のある情報ではない。

 それでも何となく話に上がった男性に呂花は目を向ける。

 すっきりした容貌の温和そうな男性だ。少し白いものの交じった薄い茶色の短髪で、瞳も同じ薄茶色だった。色のせいか余計に柔らかい印象がある。彼は長方形の眼鏡の枠からこぼれんばかりに目を開いて、呂花をしげしげと見つめている。

 ここにいる彼らは全員がだいたい同じような格好だった。水有を除く男性は京一と同じで、白い長袖シャツに黒のズボン。女性も呂花から見て左の一番前に座っている彼女を除けば、白いブラウスに黒のズボンだった。服装がほぼ統一されているのは制服代わりなのだろうか。星社に参拝する際に、呂花はその職員達の服装をそれほど気にしたことはなかったし、覚えてもいないのだが。

 それにしても、と呂花は内心で首をひねる。過去名とはいったい何なのだろうか。

「言っただろう?現在の反対は過去。ようするに、そういうことさ」

 ひやりとして呂花は水有を強く見た。

 やはり普通に思考を読まれているわけではない。

 彼は呂花が頭の中でに対して答えている。

 自分の中を覗かれる薄気味悪さ。それを口に出される居心地の悪さ。

 呂花は一層身を緊張させる。

は、変わらないね。

 そういうところ、どういうところだというのか。

 そもそも、自分はそんな名前に覚えはない。

 彼は何を言っているのだろう。

 そして、呂花は不意に気づいた。

 ここまで呂花を導いてきた彼の言葉が甦る。


───思い出したのではないのか。


 そして彼は呂花をと言った。

 まさか。

 目は前を見ているけれど、呂花の意識は水有にはない。

「思い出すという言葉は、過去のことに対して使われる言葉だね。そして過去名とは、その人が今生に転生する前の名前のことを、この場合は指している」

 釈然としなかったあの言葉。

「ここにいる皆は私を含めて全員、生まれ変わる前の、いわゆる前世の記憶を持つんだよ。そして呂花。ね、五百年前にこの社で働いていた社人やしろびと、桐佑の生まれ変わりなんだよ」

 呂花は水有から顔をそらしてわずかに腰を浮かせると、その視線を自分を〈コウヤ〉だと言い、呂花の好敵手だったと言った彼に向けた。

 鋭く射抜くように見つめてくる彼の瞳を、呂花は真っ向から見つめ返した。

 あの彼の言葉は、水有の言う内容と符合する。

 彼が今水有の言った話を前提に呂花と話していたのなら、話がかみ合うはずがない。

 生まれ変わる。前世の記憶を持つ。

 そんなものは物語や想像の、そういう物の中にしかない。

 少なくとも、呂花はそんなことがあり得るとは信じていない。

「でも、君は?」

 体の奥が凍り付いた。

「このやしろの前で京一に、功也こうやに出会った時に、何か、見なかった?」

 何故、彼がそれを知っているのか。

 呂花はそのことを誰にも言った覚えはない。自分ですら本当のことではないと思っているのに。

 心臓が小さく悲鳴を上げる。

 何度目だろうか。

 息を呑んだ呂花に、周りが驚く。

 二御柱の前で彼に会った時。

 白昼夢だと、呂花は思った。

 あの風景。時代を遡ったような景色。そして。

 姿勢を戻しながら、呆然と視線をさまよわせる呂花に誰もが驚く。

 床に目を落とし、呂花は膝の上に置いた自分の手を強く握りしめた。

 あの時自分が思ったことは。

 自分が口にしかけた言葉は。

 三日前の情景はまだそれこそ記憶に新しい。

 うつむいて硬直した呂花を、一つ段の高い座から見下ろしながら水有が言う。

「少し話が先へ行ってしまったね。では続きに戻ろうか」

 聞いているのかいないのか。視線を落としたまま、一点を見つめて動かない呂花を京一は静かに見る。

 けれどもその表情は硬く、眼鏡の奥の双眸に浮かぶものもまた、厳しかった。

「興輔の二つ空けて、彼女がまどか。過去名は璋瑤しょうよう。興輔の補佐で境部の事務全般を取り扱う、事務方の所属だよ」

 彼女は少しあっけにとられていたのだろう。慌てて呂花に視線を合わせると、興輔と同じく明らかな動揺を見せながらも軽く笑った。

 見た感じは呂花よりは年上に思えた。

 彼女は肩下辺りまである黒髪を、呂花と同じように首の後ろ部分でまとめている。

「その隣が礼成まさなり。過去名は才執かたもり。社の祭祀や儀式などに関する事柄を扱う、式方しきかたに所属」

まどかの隣に座る彼は、上座の彼にひけをとらない端整な容姿の青年だった。紫色をわずかに帯びた黒い瞳が呂花を見て、静かな表情のまま軽く会釈する。反動で短い黒髪が微かに揺れた。

 落ち着いたその動作は同年代だろうとは思うが、呂花よりやや年上のような感じを思わせる。

 続けて反対側へ水有は目を移す。

「君から見て左側。私の手前にいる彼女がてる。過去名は元名ゆきな。礼成と同じ式方に所属」

 ほっそりとした面立ちで、背中の中ほどまである艶やかな黒髪に黒い瞳の彼女は、一瞬戸惑いを見せたものの、色白な美しいその顔をほころばせて呂花を見た。

 彼女は水有と同じように社着を纏っている。ただ彼と同じ物ではない。

 真っ白な光沢のあるその社着は、あざやかな色柄と落ち着いた装飾が主張しすぎない程度にほどよくあしらわれている。

 本人の容姿と相まって、どこか別次元の人のようにすら呂花には思えた。

 年は呂花とそう変わらないだろうが、座っているだけなのに、水有とは違う意味で圧倒されてしまう。

 耳朶に着けられた小指の先ほどの玉が、半透明な光を微かに放っていた。

「その隣が美里みさと。過去名は潔子きよこ。社務所の窓口業務を主にしてもらっているよ」

 彼女も呂花と同年代のように見える。

 まどかよりは長く照よりも短い黒髪が、真っ白なブラウスにこぼれかかる様子も、その綺麗さは照とは違うが落ち着いた知的な大人の女性、という雰囲気がある。

 彼女はやや驚いた様子で小さく会釈をしたものの、硬い表情を崩すことはなかった。ちらと呂花を見た黒い瞳の中に、あざやかな翠色が走った。

 それから、と美里の一つ空けた隣を水有は見る。

「君をここまで連れてきたのが、京一。過去名は功也」

 ようやく、呂花にとって彼の名がはっきりとした。

祀殿しでん、拝殿の管理を担当しているよ。君のであり、前世では好敵手、だった」

───好敵手。

 彼も、京一もそう言った。

 この場にいる人々は皆驚きと戸惑いのような視線を呂花に向けているが、その中に同種のを呂花は感じる。

 その中でも桐佑という人間の好敵手だったらしい彼の中に、一番強くそのを感じた。

 それは、という問いかけ。

 疑いを伴った問いとともに、彼が突きつけてくるのは、だと呂花は思った。

 呂花には彼の理由などわかるはずもないが、それでもまるで自分の方が悪いことをしているような、そんな気分にさえなった。

「あと、三人いるんだけどね」

「哲平は先ほど会いましたので、もうすぐ来ると思います」

 京一が静かに答えた。

「そう。他もそろそろ戻ってくるかな」

 今起こっていることは、本当に現実のことなのだろうか。

 何度自問しただろう。

 信じられるはずがない。

 けれど会社の人々も家族でさえ、呂花をその輪の中にいた人間だと、呂花という人間なのだと認めてはくれなかった。

 晴上はれのぼりから檜晶かいしょうへ瞬時に移動させられて、三日前の旅行で偶然通りがかった星社へと連れてこられた。

 前者はいまだ疑いが多分にある。だが後者は 否応なく、呂花は体験してしまった。

 今が夢の中だと。ただの悪夢だと。そうであって欲しいと願うけれど。

 京一につかまれた腕の感覚は本物だった。

 そして今感じている心臓の鼓動の痛みも、間違いなく現実のものだと思い知らされる。

 ただこの信じがたい内容の中に、呂花自身が含まれることについては話が別だ。

 そうだ。自分はまだ何も納得などしていない。

(私は、認めていない)

 自分が誰かの生まれ変わりだなんて、それを確信できる証拠も根拠もない。

 たとえ彼らがそれを差し出したとしても、呂花にはそれをそうだと認められる、納得できる何かはない。

「私は」

 ふとこぼした呂花に、視線が集まった。

「桐佑という名前を

 呂花自身も驚くほどきっぱりした声だった。

 空気がピンと張りつめるのがわかる。

「───、知らないのではなく、思い出せないだけ」

 思い出すということが、呂花には理解できない。

 過去といっても、彼らが呂花に言っているのは生まれる前のことなのだから。

 どう考えても思い出しようがない。

 くすり、と水有が笑った。

 その音に呂花は妙にぎくりとする。

 彼を見つめた瞳に更なる力がこもる。

 気を抜いてはいけない。

 体は呂花が戸惑うほど勝手に身構える。

 どこか、何かに抵抗するような感覚が呂花の中にはあった。

 わからないからこそ、そこに感じる恐怖に警戒しているのかも知れない。

 少しの間場が静まり返って、ふと水有が呟く。

「……確かに、君は桐佑とを持つ人間だ」

 呂花は思わず目の前の彼をにらんだ。

 そんな自分に呂花は内心で驚く。

 確かに怒りがわいたが、にらもうと思ってにらんだわけではない。

(何で……)

 自分の思考とは別に、まるで感情だけが一人歩きしているような、そんな感じだ。

「相変わらず、カンが良いね。

 発される言葉はなおも、呂花に体から力を抜くことを許さない。

 呂花と会話している水有以外の人々は、それぞれに内で思いをはせながらもその様子を見守っていた。

「全体的に変わったように見えるけれど、特に変わったと言えるのは、外見かな」

「外見?」

 軽く苦笑するような水有に、呂花は繰り返すように呟いた。

 再び口を開こうとした彼はふと気づいて、その視線を呂花の後方へと向ける。

 同時に入り口の引き戸を叩く音がした。

「はい」

 返事をして立ち上がったのは京一だった。

 戸が開けられると、低い声とともに男性が一人姿を現した。

「遅くなりました」

「お帰り、隼男はやおあとの二人は?」

「ええ、もう来ると思います」

「そう」

 隼男、と呼ばれた彼が中へ入って興輔の隣へ腰を下ろそうとしたが、ふと水有の前に座る呂花を見て動きを止めた。

 これ以上ないほど驚いたように目を見開いて、彼はこぼすように呟く。

「あの……、ちょっと、待って下さい。まさか……、」

 彼の驚きように水有が笑った。

「驚きすぎだよ、隼男。でもまあ仕方ないか。うん、そう。呂花というよ」

 呂花はつられるように驚く彼を見た。

 三十代半ばから四十代前半くらいだろうか。背はここにいる男性達の中でおそらく一番高いだろう。

 ぱっと見やや精悍な風貌の彼は、しばしあっけにとられた様子で呂花を見ている。

「呂花、彼は隼男。過去名は高平たかひら。境部の副責任者、部次くみつぎだよ」

 深みのある紺色の瞳とそれと同色の短い髪の彼もまた、他の男性達と同様の服装だ。

 一つその中で目立つのは、肌の色が他の人々とは違い、淡い黄色みを帯びたような色ではなく、浅黒い色だったことだ。

 開け放たれた戸の向こうから更にいくつか足音が聞こえて、その話し声が次第に近づいてくる。

「───本当に信じられねえよ」

 声の主は先ほどすれ違った青年のようだった。

 確か哲平といっただろうか。

「まさかが、になっちまってるだなんて───」

 入り口近くで一度声がやんだ。

「来たようだね」

 言葉と同時に哲平が入ってきた。

「遅くなりました」

「ただ今戻りました」

 哲平の後ろから肩までの短い黒髪の女性が一人続く。

 全員が席に着くのを待って、水有が口を開いた。

「全員揃ったね」

 先に入ってきた彼が哲平。過去名は宗次郎そうじろう。美里と同じく、社務所に詰めるのが仕事らしい。その彼はとても複雑そうな眼差しで呂花を見る。

 最後に入ってきた彼女はこの社の占師せんじだというしん。過去名は幾詞きし。年はまどかと同じくらいだろうか。肩までの短い黒髪だが、右の前髪だけをいやに伸ばしている。

 そして耳に着けられた緑涙玉の耳飾りが、目を惹いた。

「よろしく、《お嬢さん》」

 軽く笑って審が言った。

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