第7話

 ◇◆◇◆◇◆◇◆


「ダメだ。このままだと、パンフレットがどうしても間に合わない」

 

「備品や会場は全く問題ないのにな。まさかパンフが、、完全に侮ってた」

 

 俺と渡辺は、会議室で最後の打ち合わせをしていた。さっきから二人で頭を抱えていたが、こればかりがどうにもならない。


「仕方ない。若干質は劣るが、初日は試作の物でしのいで、、、」

  

「ダメよ。メーカーにとって同じクオリティーの物を提供するのは、必須事項だわ」


 きっぱりとした声を放ちながら、椿咲課長が部屋に入ってきた。どうやら俺たちの声は廊下まで聞こえていたようだ。いったい誰のせいでこんなに苦労していると。。


 魔王ツバキ、もとい、椿咲課長は俺たちが用意していた資料を見ると、すぐに言い放った。


「見たところ、印刷会社は間に合うようね。直接こちらに配達してもらいなさい」


「え、でもそれでは、、、」


 その手があったか! と思った。いや、全く気がついていなかった訳ではない。印刷したもの直接こちらに送る。つまり、、、


「それでは、袋に詰める作業をこちらでするということになりますが」


「そうよ。やるのよ。それくらい子供でもできる」


「え、でも部数は千枚を超えますよ、、」


「できない数ではない」

 

「私もお手伝いします!」


 勢いよく扉を開き白魔道士、ではなく事務所のマドンナ、白石さんが入ってきた。


 この会議室、壁が薄すぎるだろ、、。

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