コラボ配信でいきなり信じてもらえない私はどうしたらいいですか
配信のオープニングが流れる。
チャット欄には「こんばんクトラー」の文字が並ぶ。
ああ、いよいよ始まるのか。
なんか緊張してきたなあ。
そしてアルクトラが挨拶を始める。
「はーい皆さん~こんばんクトラ―!始まりました、一人招いてお話するクトラ対談配信。今日も楽しくやっていきたいと思います~」
「今日のコラボ相手は、何とデビュー直後でチャンネル登録者数10万人を達成、その後も急激に数字を伸ばし、現在30万人を超える一線級のVtuberにまで上り詰めたレイフ・フェイク=リベリオンさんです~!みんな喜べ~!さあ、レイフさん挨拶をどうぞ!」
視聴者を明るい声で煽っていく。
明るい女性ならではの振る舞い方だなあ。
「皆さん初めまして。レイフ・フェイク=リベリオンだ。今日はアルクトラさんにお招きいただき、やってきた。新参者で失礼があるかと思うが、お手柔らかに頼みたい。」
正直敬語で喋るか悩んだが、キャラブレはしたくない。
敬語キャラで行くと、仲良くなったときに敬語を外すタイミングが分かりにくくなる。
なので少し高圧的なキャラの方が良いかなと思ってやっているのだ。
実は裏ではとても丁寧ですみたいな暴露も少し期待してるが。
え?コミュ障の典型?うるさい散れ!解散!
そんなしょうもない考え事をしている間にも、どんどんアルクトラは語りを進めていく。
「今一番注目を集めているといっても過言ではないレイフさんですが、何よりデビューしたばかりなのでまだその素性をちゃんと知らない!もっと知りたい!という人も多いはずです!ということで、今回は事前に質問を募集して答えてもらうというインタビュー形式の配信を設定しました!どんなことが知れるのか楽しみですね!!」
チャット欄も楽しみにしてくれているようなコメントが並んでいる。
アルクトラの視聴者も楽しみにして来てくれているということなのでとても嬉しい。
「さあ、それではさっそく参りましょう!まず一個目の質問から。『レイフ君はTwitterもすごい速度で返信し、動画投稿の頻度や耐久配信など、人間業とは思えない活動を行っているようですが、普段はどうされているのでしょうか?』これは私も気になる質問ですね~。」
一発目から核を突く質問が来たなあ。
ある程度どう答えようかは決まっているが、納得してもらえるかなあ。
「私もこうやって配信業をしつつ、動画投稿をしているタイプのVtuberなのでよくわかるんですが、マジでこの人バケモノなんですよ!あのクオリティの動画を一人で作ろうと思ったら基本的に最低1週間はかかります。それでもあのクオリティを出せるかと言われると中々しんどいレベルなくらいです。それが!あの頻度で投稿してかつ配信も高クオリティのものを行う?そりゃバズるわ!って感じですよ!真似できっこないですもん!」
アルクトラが思わずヒートアップする。
そりゃ人にできないことやってるから嫉妬されるのはしょうがない。
「それでどうでしょう?普段どういう感じでレイフさんは活動を行っているのでしょうか?正直私は個人勢に見せかけた技術集団の産み出したVtuberなんじゃないかと疑っているわけですが。差支えないようでしたら、動画制作のコツとかふわっとしたものでいいので語っていただけたらと思いますが。」
さあ、話が振られてきたぞ。
腕の見せ所だ。
「コツかあ…コツと言われると『ええ?』と思われるかもしれないが、少し私はズルをしているんだ。」
苦笑しながら言葉を選ぶ。
「ズルですか…?」
「そう、実は元々フェイク=リベリオン家はすごいソフトを開発していて、それはある程度までの思ったことを構成してくれるソフトなんだ。なのでそれを使ってイラストやアニメーション・音源制作を行っている。まあすべては家の財力のおかげかなあ。」
学習・再現ソフトのことを遠回しに伝える。
設定だと思われるのだろうか?
「なるほどなるほど、確かにそれは私も欲しいと思うようなソフトですねえ。動画制作や音源制作までできるなんて、なんて完璧なソフトなんだ…!金策に走り回って今もクラウドファンディングを行っているうちからすると羨ましい限りです。」
あ、ダメだ。信じてなさそうだな。
チャット欄も「なるほどそういう設定か」という空気になっている。
まあこればっかりはどうしようもない。
それにしても、さりげなく自分の金策の話を出してくるとは、なんとも話の持って行き方が上手い人だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます