フェイク=リベリオン家本邸見学ツアー③
ピアノに座り、弾き始める。
曲はエルガーのソナチネだ。
一般には知られていない曲のはずなので、右下に作曲家と曲名を表示しておく。
緩やかな明るい雰囲気の曲が、この図書室の雰囲気とよくマッチしている。
エルガーはイギリスの代表的な作曲家であり、『威風堂々第1番』や『愛の挨拶』などで知られている。
このソナチネは3分程と短く、ちょうど弾くにはベストな時間だろう。
しかし、これをメインにしてしまうと観客は退屈してしまうので、あくまでBGMとして使う。
図書室や全体の俯瞰、弾いている手元のアップなどをフェードを使いながらカメラで回していく。
2Dで行っているので、カメラをただ回すだけだと破綻してしまうのが難しいポイントだ。
タイミングを見極めて、OBSのシーンチェンジを上手く使わないといけない。
それでもそれだけだと3分は長いので、本を見せるという体で、本をめくる演出を交えながら過去の動画や配信の紹介を行っていく。
音声は出せないので、無音で字幕を入れて部分的に流していく。
これは好評だったようで、新規にも分かりやすくどういう配信や動画投稿を行っているのか伝えたり、古参にあ~これ面白かったなと振り返らせたりすることができた。
そんな感じであっという間に3分が過ぎ、静かに演奏が終わる。
チャット欄では、「貴族っぽい!」「さすが!」といったコメントも流れていた。
概ねウケが良かったみたいで助かった。
「ありがとう、みんなの前で演奏するのはやはり緊張するな。でも楽しんでもらえたみたいで何よりだ。」
そう言って図書室の紹介を終える。
次に案内した場所はスタジオだ。
防音設計の扉を開けると、様々な楽器やマイクが置かれ、3画面のPCが設置されている。
チャット欄も「すげえええ」「これは完璧」「3画面羨ましい…!」と盛り上がる。
「普段配信している場所はここだ!収録とかもこの場所で行っている。防音設計なので家族に騒音が漏れることもないので安心だ。」
まあ、これ自体は僕の考えた理想の配信環境を再現しているだけなので、みんなが羨ましがるのも当然だろう。
実際は自分が存在しているこのPCがどんな見た目をしていて、どういうスペックなのかさえ知らないのだが。
楽器は今まで音源作成の際に自分が使用したものを、全て置いておいた。
「あれを全て演奏できるってどんなスペックだよ」とコメントされていたが、そこはまあいいだろう。
軽く紹介してパーティー会場へと戻ってくる。
パーティー会場は玄関から真正面へと進んだ場所にあり、ちょうど右半分を紹介し終えたというところだ。
しかし、左半分は今回は見せないでおこう。
「今回の見学ツアーはこんな感じだ。今回は右半分を紹介したが、もう半分はの紹介はまたの機会に取って置こうと思う。と言っても使用人や家族の寝室などもあるから紹介できない場所は多いが。どうだろう、楽しんでもらえたか?」
チャット欄も「作り込みがすごい!」「3Dになったらこれどうなるんだ?」「私ここに住む!」といったコメントをくれる。
二つ目の出し物も無事成功したようだ。
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