フェイク=リベリオン家が勝負をしかけてきた!

 乾杯のチャットが止んだところで次の言葉を紡ぐ。


 「さて、本日のパーティーの説明をしよう。この通り、収益化に伴って一新したソフトを使ったアニメーションでスパチャの反映や場の作りを行っている。一般には3Dじゃないとできないカメラ制御による立体演出も、当家の力を以って実現させた。労力に見合うクオリティは実現できたと思うがどうだろう。」




 とても速い回線を使っているおかげでほとんどズレないコメントが、素晴らしいと賛辞の嵐をくれる。


 人間がこの作業を行うと一体何人がかりで何日必要だろうか。


 少なくともリアルタイムで描きたしながら配信を行うことは到底できないはずだ。


 カメラ・照明切り替え用の絵の用意や参列者・サービススタッフの挙動管理など、用意しなければならないシーンは大量にある。


 まさにこの身体だから実現できたことだ。




 「ありがとう、僕もこの景色を産み出せて今とても幸せだ。これからもどんどんこういう配信を行っていけたらと思う。」




 少し感謝の言葉が多くなってしまったな。


 あまりそればかりの配信になってしまっても申し訳ない。


 エンターテイナーとしてふさわしい配信を行おう。




 「さあ、具体的な進行の説明がまだだったな。順に述べていこうと思う。今日は3つの出し物を用意した。最初は視聴者参加型のゲーム、次に我が家の案内、そして締めは花火大会だ!後の二つは大体想像が付くだろうし、実際その時になってからのお楽しみだ!というわけで、さっそく最初の出し物の説明に入らせてもらおう。」




 チャット欄もどんどんと盛り上がっていく。


 後ろ二つは映像的にも大分綺麗なものになると予想が付きやすいだろうし、盛り上がるのも無理もない。


 一方で視聴者参加型のゲームは何を持って参加できるのかが分からず、困惑の声が多く上がっていた。


 ふふ、その困惑を驚きに変えて見せよう。




 「視聴者参加型と急に言われても、と思っていることだろう。ゲームなんて今できる環境にないよとも思っているはずだ。どうやって参加しろというんだと困惑する君たちの心境もよくわかる。しかし!君たちは大事な、大事なものを見落としている!ここにいる誰もが参加できる資格を持てるツールの存在を!そう、チャット機能だ!!!」




 何をそんなにもったいぶっているんだと依然困惑の声が上がる。


 チャットで参加者の意見を聞くことなんて、よくあることだろうと。




 「どうせ、チャットで参加すると言っても、どういうポーズを取れだとか、右左などの指示の集計を取るのだろうとでも思っているんだろう…?甘い!そんなことのために僕はこんなオーバーリアクションを取ったりはしない!今回行うゲームは…」




 そこまで言葉を紡いだところで、突然会場に激震が走る。


 いつの間にかテーブルや椅子がはけられ、参列者たちは立ち上がる。




 そして突然天井が開き、上からドラゴンが舞い降りた。


 黒く輝く鱗に包まれたドラゴンは、まさしくイギリスの空を支配する王のようにも見える風格を持っている。




 「今回このゲームのためだけにこのドラゴンを呼び寄せた。君たち参加者にはこれより武器を与えるからそれぞれ思い思いの技をチャット欄に書き込んでくれ、スーパーチャットで書き込むと魔法も使えるという風に設定した。あまりバランスが崩れる必殺技ではない限りは全て対応して見せよう。そう、これはドラゴンと君たちの戦いだけではない!君たちが僕らフェイク=リベリオン家の能力を超えられるかという戦いでもあるのだ!!」




 そしてドラゴンは会場中を揺るがす咆哮を轟かせた。

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