転生したのでVtuberになってみた

偽物の反乱

　とりあえず、キャラの方向性を決めたので、外見を決めていこう。

　正当派お坊ちゃま路線なので、アイドルっぽく仕上げてもいいかな。

　やっぱり、なんだかんだチヤホヤはされたい。

　「まず顔は優しめのイケメン、髪型は少し上げるかサラサラヘアーの全下ろしどちらかだな。」

　清潔感のある雰囲気じゃないといけない。

　ソシャゲや漫画、アニメなど人気のお坊ちゃま・御曹司系のキャラは沢山いるから、それを読み込ませて参考にしよう。

　「服は悩みどころだなあ…」

　アイドル全振りにするなら舞台衣装っぽいものでもいいけど、あくまでメインのキャラ設定はお坊ちゃまだ。

　お坊ちゃまと一口に言っても現代風、和風、ヨーロッパ風など色んな路線がある。

　ギャグ路線のお坊ちゃまだけはさすがに避けたいが。

　「まあ、分かりやすくイギリス風かなあ」

　1から情報を集めてきて振る舞うことも今ならできるだろうけど、元々イギリスに憧れのある家で育ったので、イギリス貴族風の作法は一通り叩き込まれている。

　一番ボロが出ない設定のはずだ。

　「ちょっともろ被りしそうな漫画があるから気を付けないとな。」

　19世紀イギリスを舞台にした人気漫画作品に路線がかぶってしまうと、ちょっと権利的に怖いことになってしまうので、似せないように意識しないといけない。

　まあ異能を持った設定にするつもりはないので大丈夫だとは思うが。

　方向性を決め、ソフトで学習させて再現していく。

　そして出来上がったのは、銀髪サラサラヘアーに青い目をしたイケメンだった。

　衣装はジャケットの代わりにベストを着たシンプルなスーツスタイルだ。

　「よし、これなら今後の衣装の幅も広がっていいだろう。」

　何しろ、イギリス貴族の衣装は人気が高い。

　今後新衣装お披露目配信をするときも、盛り上がったものにできそうだ。

　「外見はこれでよしと、とりあえずこれでアイコンと立ち絵を作って、Twitterのアカウントを作ろう。」

　個人勢にしろ企業勢にしろ、いきなり配信します！と言って来てくれるものではない。

　最初にTwitterで交流を深め、「あいつ初配信するのか、見に行ってやるか」と思ってもらえるような下地を作るのが基本である。

　あらかじめどんなVTuberなのかというぼんやりとしたイメージを持って来てもらえるのも良い。

　「名前はどうしようかな。」

　どうせならイギリスっぽい名前が良い。

　オックスレイド＝チェンバレンみたいなカッコいい名前ならみんな覚えてくれるだろう。

　さて、どんなのが良いか…

　「決めた。レイフ・フェイク＝リベリオンにしよう。」

　厨二っぽいが、カッコいいのができたんじゃないだろうか。

　レイフは本物の僕の名前をそれっぽくして、家名はFake（偽物）のRebellion（反乱）だ。

　No.100ということは僕を含めて既に100人の偽物が作られているということだ。

　どういうつもりでそんなに作ったのかは知らないが、そう簡単に思い通りに生きてやるつもりはない。

　僕たちは人間じゃないのかもしれないが、人間としての思考を持って生まれてきたのだから人間としての権利を主張したっていいはずだ。

　「今日から僕の名前はレイフ・フェイク＝リベリオンだ。」

　今日から僕は偽物の反乱を起こす。