キャラメイク②

 VTuberをやる上でまず気を付けるべきポイントは、自分が客観的に見てどういう人間かを把握できるかどうかという点にある。




 例えば、自分は狂人だと思って狂人っぷりを活かすキャラクターで活動を行おうとしても、じゃあどういったポイントが他の人と比べて狂っているのか、その狂っている部分をどういう風に見せたら面白いのかということを分かっていないと、活かしきれずにリスナーにドン引きされたり、伸び悩む状況に陥ったりしてしまうことになる。




 そして、実際に自分のどういう点がウケているのか把握しているVTuberはやはり強い。


 今や二大巨頭と言われるVTuber事務所の一つの中で、創設時から登録者数で不動の1位を誇り続けるVTuberのチャンネルページを見てみると、よくわかるだろう。


 まだ登録していない視聴者が、チャンネルページに行くと大きく表示されてお勧めされる動画は、チャンネル創設時から自分がどのようなVTuberなのかということが、よく分かるようにかつ面白く伝わるように作られている。


 これは自分のどのようなポイントが、リスナーからの反応が多くもらえるかを体感して分析できるからこその芸当だ。




 もちろん、実際にどこがウケるのかは活動しながら把握していかなければならないが、まず自分がどういう方向性で行くかということを、これを念頭に踏まえた上で決めるとスムーズにいきやすい。


 


 そして、自分の売りを効果的に見せるために、採用するかしないかで悩むべき重要なポイントがある。


 そう、キャラ崩壊だ。




 キャラ崩壊とは、外見や当初のキャラクターから大きく違った方向の言動をすることで、視聴者に大きなインパクトを与えるというものだ。


 例えば、清楚なキャラクターで売りにしていたVTuberが、いきなり「死ね~!ゴミカス~!」と言い出して、リスナーが大きなショックを受け、話題になるなんてことがある。


 もちろん意図的にキャラ崩壊を狙う場合と、取り繕っていた化けの皮が剝がれるという場合の2パターンがある。


 前者で当たりを出せるVTuberは、きちんと分析してるからこそできる芸当だが、後者で当たりを出せるのは、運や才能に任せるしかない。


 つまり、後者で実績を出せるのは天才にのみ許された道だということだ。




 まあ、長々と解説してしまったが、これらを踏まえた上で自分に合ったキャラづくりを考えていこう。


 「せっかくだからこの環境を活かせるようなことをしたいなあ」




 電子情報化できるものなら何でも再現できてしまうツールを得た以上、色んな事に挑戦してみたい。


 どうせなら、両性のVtuberになるのだってありだろう。


 違和感なくどちらの声も出せるようになれるだろうし。




 「でも、やっぱり性格は変えられなさそうな気がするから、それに沿ったキャラづくりかなあ。」


 なんでも再現できるソフトとは言え、今のところ自分の力で色んな性格を再現できるようになれるとは思えない。


 どうやって電子情報化しろというんだ。




 「よし、お坊ちゃまの性格をベースに考えよう。」


 僕というか、本物の僕はお坊ちゃまだ。


 その性格や記憶をコピーされている以上、お坊ちゃまの振る舞いが一番しっくりくる。


 長々と講釈を垂れた割にはシンプルなものに落ち着いてしまったが、マルチタスクができるのでキャラクターを増やしていっても良いし、まずはこれで様子見しよう。


 キャラ崩壊させてもいいが…




 「やっぱり、王道のお坊ちゃまを目指した方がいいかな~」


 お坊ちゃまという存在がそもそも少ない以上、ちゃんとその通りに振る舞える人もそう多くないだろう。


 ロールプレイじゃない本物の振る舞いを見せてやる!


 あ、そのうち人を増やして華麗なる一族とか名乗っても面白そうだな。


 よし、目指せVTuber界のロスチャイルド家だ!

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