第26話〜絶賛!処刑!待った無し!

その後。


とりあえず武器も何もなしに異世界で冒険なんてできないわけで。


ゴブリンたちの死体の周りに散乱する、ある程度まともそうな武器を回収して回り、ついでに虫の息だったゴブリンにとどめを刺す。


ゲームとかでグロシーンに見慣れてなければ正直ヤバかったな。


臭いとか感触があるせいで吐きそうになったわ。


何はともあれモンスターを倒したぞ!


するとレベルが8まで上がった!


とくにレベルアップでファンファーレが鳴り響くとかはないみたいだ。


そしてスキルは覚えなかった…。


ともあれこれで武器は手に入ったし、心なしか身体が軽いような気もする。


しばらくこの辺でレベル上げして、それから近くの街にでも繰り出そう。


そこで文明レベルを見て、内政チートとか現代知識で革命を起こしてやるぜ!





と、思ってた時期が俺にもありました。


「殺せ」


「はっ!」


はい、現在絶賛殺されかけております。





森でのレベル上げを3日。


野宿と夜の森のストレスは現代っ子には厳しいものがあった俺はレベルが20になったのを確認して、森を抜け出した。


そしてなんとか道を見つけて歩くこと半日。


そこそこ大きな街にたどり着いた俺は、定番の盗賊に襲われて身ぐるみ剥がされ記憶喪失と言い張り、なんとか街に入り込むことに成功。


街に入るのに身分証も金もなかった俺はテンプレ通り冒険者ギルドに。


とくに絡まれることなく(安堵感が半端なかった)受付に。


そこでも入会金を前借りする形で登録。


よし、今日から俺も冒険者だ!


と、簡単なクエストを受けて意気揚々と街の外に出ようとした時。


豪奢な馬車が横を通り過ぎた。


そして飛び出した子供が轢かれそうになり、といったイベント発生。


これはフラグだ!


と直感した俺は子供を助けるべく飛び出した!


んだけど、馬車はギリギリで止まって子供は無事。


じゃあ馬車に乗っていた貴族に不敬罪で子供が殺されるフラグか⁉︎


と頭を切り替えるも、出て着た身なりのいいおじさんはすごく丁寧に子供の安全を確認して頭を撫でてあげる善人ぶり。


物語みたいな出来事はそうそうに起こらないらしい。




さて。


そこで終われば、何事もなかったわけだが。


やっちまったよ。


【鑑定】スキル。


森でも植物だろうがなんだろうが熟練度のために使いまくり、街にたどり着いてからも連発してきた。


だからつい反射的に貴族にも【鑑定】してしまったわけだ。


まぁいろんな職業とかスキルとかレベルとか視るのは楽しかったし、貴族ならではのスキルとかも興味があった。


けど【鑑定】スキルは貴族の男には発動しなかった。


いや、発動はしたんだけど、視ることはできなかった。


後で知ったんだけど、貴族や王族、名のある冒険者など、情報を秘匿する立場の人間は【鑑定】スキルや他の詳細を知ることができるスキルなどにアイテムなどで対抗しているそうだ。


俺が【鑑定】した貴族も【鑑定阻害】の魔導具を身に付けていたらしい。


さらに護衛には【スキル感知】のスキル持ちがいたらしい。


そして貴族や王族に【鑑定】スキルを使うことは立派な犯罪行為だ。


それも重度の。


はい、やらかしましたー。


近くにいたのは貴族の男と飛び出した子供、護衛の他には走り寄っていた俺しかいなかった。




うん、普通に捕らえられました。




そしてあれよあれよと言う間に衛兵に連行され、丸一日尋問されたよ?


そして街に身分証も金も何も持たずにやってきた職業無職だよ?


登録したての冒険者にも借金で登録。


怪しいよね?


処刑されるまで3日もかからなかったよ?


はい、現在、絶賛、処刑、待った無し!

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