第17話〜犬人族のコウユウ③


仲間たちがいなくなってから、お爺ちゃんもお父さんもお母さんも、みんな元気がないです。


ボクもさびしくて少し、いえ、すんごくしょんぼりしてます。


でも、くよくよしてても何も始まらないです。


お父さんもそう言ってました。


だから狩に行こうとするお父さんにボクも付いていきたいとお願いしました。


「コウユウ、お前はまだ子供だし、それに…、いや、危険だからお留守番してなさい」


やっぱりお父さんはボクを子供扱いです。


まだ怪我も治ってないし、少しでもお手伝いしたいです。


しょんぼりペタンと耳も尻尾も垂れてしまいます。


「コウユウ、母さんと一緒に木の実や薬草を探してくれるか?深くまでいくとモンスターがいるが、母さんなら近場でも薬草が採れるところを知ってるしな」


お父さんはボクの頭を撫でながらそう言ってくれました。


嬉しくてピンと耳が立ちます。


お父さんは笑いながら狩りに行きました。


よかったです。


元気になったみたいです。


ボクもさっそくお母さんと木の実とか薬草を探しに行きます。


お母さんも笑ってくれました。




何度か前にも薬草を探しに来たことがあるのでいくつか知っています。


お、あれは確かお腹が痛い時の薬になるやつです。


おや、近くに塗り薬になる薬草もありました!


お母さんは少し離れたところで薬草を探しています。


よーし、いっぱい採って、お母さんたちを驚かしてあげるのです!




ボクは一生懸命薬草を採りました。


だからちょっと、周りが見えてませんでした。


ガサゴソ近くで音がして、「お母さん?」って声をかけました。


でも藪から出て来たのは人でした。


それも前に仲間たちを、ボクの弟を攫っていった人たちと同じ、帝国の鎧を着た。


ボクはすぐ逃げようとしました。


でもすぐ全身が痛くなって…。




ボクも帝国に捕まりました。

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