第16話〜犬人族のコウユウ②

ボクの名前はコウユウ。


犬人族です。


今年で3歳になります。


犬人族では5歳で大人と認められるので、まだまだ子供扱いです。


でもボクは誇り高き犬人族、身体は小さくてまだ狩には連れて行ってもらえないけど、それでもみんなの役に立ちたいのです。




ボクたちは森の中で暮らしてます。


とても広くて、一人だと迷子になってしまいます。


族長をしているお爺ちゃんは、昔はもっともっと森は広かったって言ってました。


ボクたち犬人族は族長であるお爺ちゃんと、お父さんとお母さんとボクの4人だけです。


ボクが生まれる前に、帝国っていう所からたくさんの人がやってきて、犬人族の仲間たちは連れていかれてしまったのだそうです。


それまでは犬人族も何十人もいる大きな部族だったみたいです。




少し前にも、帝国から人がたくさん来ました。


ボクの家族以外はみんな捕まりました。


中には反抗して、殺されてしまった人もいます。


ボクの弟も捕まって、連れていかれました。


無理やり首輪をつけられて、檻に入れられて。


ボクはお爺ちゃんと、お母さんと藪の中に隠れていました。


お父さんたちが囮になってくれなきゃ、みんな捕まってました。


お父さん以外にも囮になった大人はいたけど、結局帰ってこれたのはお父さんだけでした。

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