第38話 乱れたベッド~先生ver.~
「お帰りなさい。」
「…起きてたのか?」
「当たり前じゃない。だって新婚旅行から帰ってきてお正月なのにお仕事にすぐ言っちゃって…私はお休みだから暇だもん。」
安奈は口では文句を言いつつも温かいコーヒーを用意してくれた。
「ありがとう…」
こういう風に優しくされると胸が苦しくなる
本当は仕事なんかじゃない
少しでも安奈と同じ空間にいるのを避けたくて家にいる時間を削りたいだけ――
「ねぇ、健さん…今日は一緒のベッドに寝よ?」
新婚旅行は安奈が生理だったのもあって同じベッドで初めて寝たけど迫ってくることはなかった
「……安奈…」
なんて言えばいい?
友達が好きだなんていったら安奈と奈々の関係はどうなる?
「安奈!?」
いきなり手首をつかまれてベッドに押し倒される。
真っ暗でメガネをしていてもほとんど見えず、ドアの隙間からもれる光で安奈の顔がぼんやりと見えるが目に涙がたまっていた。
“カチャッ…”
何も言わずに俺のメガネを外して髪の毛が俺の顔に少しずつふりかかってくる。
“ポタッ…”
「安奈…」
安奈の目から次々と涙がこぼれ俺の頬を伝った
「私は魅力がないってこと?」
「そうじゃない、ただ…」
「健さん結婚式から何だかおかしいよ…結婚式までは好きじゃなくても優しくしてくれたのに……もしかしてッ!」
女の勘というものはすごいとこのとき知ることになる
「結婚式の時に…好きな人に会ったの?」
まさかあの日再会するなんて
俺も奈々も杏奈も思わなかった――
「その人って奈々なんじゃ――」
「違うよ。」
安奈が話し終わる前に遮るように答えた。
俺のただの一方的な思いで奈々と安奈の仲を壊すわけにはいかない
かといって安奈とこのままでいいわけもない
「安奈…話が――」
「いやッ!!」
今度は安奈が俺の話を遮って声を荒げる
「まだ別れない…まだ、結婚して数ヶ月しか経ってないじゃない…もう少し…もう少し私を見てよ。」
「安奈…」
「お休みなさい!」
寝室から追い出され鍵をかけられて中に入れなくなった
「安奈、聞いてくれ…」
「いや!聞きたくない!!」
今日はこれ以上話すのは無理なのか・・・
「わかった。お休み…」
そういっていつもどおりソファで眠るしかなかった
だけど思えばこの日俺が家を出ればよかったんだ
まさか奈々をこのあとさらに傷つけてしまうなんて――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます