第7話 一夜明けて…
「ん…」
奈々がゆっくりと目を開けると目の前には寝ている先生がいた。
(あ~そうか、先生と昨日…今何時!?大学に行かなきゃ!)
そっとベッドから降りて慌てて携帯をみると8時だった。
(9時からだった!やばい!)
慌てて服を着て身支度を整える。
(そういえばお金払ったっけ?え?どうだったっけ?)
財布を開いたら500円しか入ってなかった。
電車賃しかない。
鞄からメモ帳とペンを出し、先生に伝言を残すことにした。
「…」
連絡先を残すか残さないか迷った。
お金を返すなら連絡先を残したほうがいいだろう。
だけどもし連絡先をかいて連絡してくれかったら?
その時のほうが悲しみが大きい…
(そういえば吐いてしまったスーツも…)
「どうしよう…」
考えている間にも時間は過ぎ去っていく。
色々考えて一か八かのメモを残す。
奈々はもう一度ベッドに寝ている先生の顔をじっくりと見る。
「先生…ありがとう。また、会えるよね?先生のことずっと大好きです。」
「ん…奈々?」
先生は横に奈々がいないことに気付き急いで起き上がり周りを見渡す。
だけど奈々の服や鞄がないことに気付き、もう部屋にいないと悟った。
「はぁ……」
ソファに座ると目の前のテーブルに紙切れ一枚置いてあった。
先生へ
昨日は忘れられない日になりました。
私は先生のこと今でも大好きです。
今の先生も好きだけど
メガネかけているときのほうがもっと好きです。
P.S.
ホテルのお金次会ったときに必ず返します。
「次会った時って…連絡先がないと…」
奈々は賭けに出てみた。
連絡先はスーツの内ポケットに入れておいた。
テーブルの紙ならすぐ見つかる。
だからすぐ連絡が来なかったら悲しくなる。
きっとあのスーツはクリーニングに出すから、その時ポケットの確認をされるだろう。
それがいつなのかわからないけど、その日まで、今までが待てたならその日までを待っていたかった。
連絡がなかったら
それが私たちの答えなのかもしれない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます