第7瞬「本物の心霊写真」

 皆さんは、テレビの心霊番組や雑誌などで心霊写真や心霊映像を見たことはありますか?

 断言します。

 それらは99%以上が作り物や勘違い、またはフィルムによる問題や現像ミスによる偽物です。

 私は写真屋でフィルムを現像する仕事をしていて、見るつもりは無いものの仕事柄たくさんの写真を見てきました。

 中にはものも結構ありましたが、それはほぼ全てが写真屋の知識で原理をものでした。

 言ってしまえば、写真屋にとっては心霊写真を捏造することも容易です。

 ただ、数年に一度くらいの割合で全くものもありました。

 その中の一枚について話をします。


 ただし、私は撮ったわけでも撮られたわけでもなく、、撮った人から少し話を聞いただけです。

 ですので、話の内容について信憑性が低く感じるかも知れませんが、は存在していて、私が撮影者から話を聞いたことについては事実です。




 それは、二十代の女性が家族旅行に行ったときに撮ったという写真でした。


 その女性によると、本来は写真が撮られた一年前に家族旅行をするつもりでしたが、により一年間延期したということでした。

 延期の理由というのが撮影者の女性の姉の死で、両親と二人の姉妹の四人家族だったその家族は、姉妹が成人してから初めて家族四人での旅行を予定していましたが、旅行の予定日の二週間前に交通事故で姉が亡くなり、旅行は取り止めにしたらしいです。


 その一年後、姉の一周忌を終えたあとで撮影者の女性が両親に、姉が一番楽しみにしていたのだから姉の供養のためにも今年は三人で旅行してみないかと提案し、数日後、場所は違うものの一年越しの家族旅行に行くことになりました。

 そして、その旅行先で撮られたのが私が見た写真でした。


 それはあまりにも自然なので、現像時に仕上がりをチェックした私もその異常には全く気がつきませんでした。


 その写真はが仲良く写っている写真でした。


 これだけでは気がつかない人は全く気がつかず、写真の異常さが伝わっていないかも知れません。

 その日は両親と撮影者ので旅行をし、その写真はセルフタイマーで撮ったものではなく撮影者自身の手で撮った写真で、それにはが仲良く写っていました。

 そう、本当ならばの写真を撮ったはずの写真にがはっきりと写っているという写真です。


 その方の姉が本当に亡くなっているのかは私にはわかりませんが、他の写真にはに写った女性によく似た女性の遺影を抱いて、でセルフタイマーを使って撮ったとされる写真もありました。

 一度写真を受け取って帰宅したあと、私を驚かすためだけにわざわざ戻ってきて身の上話をした上で、これが心霊写真だといって見せる人はさすがにいないと思います。

 恐らく、事実なのだろうと私は思います。


 ちなみに、その写真の女性は他の写真には一切写っていなくて、唯一写っていたその写真の表情は本当に嬉しそうでした。

 自らの不幸で行けなくなってしまった家族旅行に一年越しに行けて嬉しかったのか、はたまた残された三人へのメッセージなのかはわかりませんが、極稀にあった本物の心霊写真のうち、怖く感じなかったのはそれだけです。














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