浮気

 日曜日、悠はさつきからのLINEで起きた。


 「おはよう」


 「さつきか」


 「さつきか、じゃないわよ、今日は2人で遊ぼうって約束していたでしょ」


 「そうだったっけ?」


 「そうだったよ」


 「今何時?」


 「11時」


 「約束は?」


 「11時」


 「え、もう間に合わないじゃん」


 「悠のことだから寝坊すると思っていたから大丈夫」


 「どこにいるの?」


 「悠の家の前」


 「え?まじか?」


 「うそうそ、池袋だよ」


 「ストーカーかと思ったぞ」


 「何時くらいなら来れるの?」


 「うーん、1時間くらいかな?」


 「待っているからね」


 「あ、ああ」


 準備をしている間にもさつきからLINEが来る。とりあえず、無視するが夏帆からもLINEが来ている。


 夏帆からのLINEには反応したかったが、後ろめたさもあって、スルーしておいた。


 結局悠が池袋に着いたのは12時半を少し回った頃だった。


 さつきが遅い!と言いながらも嬉しそうに悠の腕を取って自分の腰に回す。


 2人でカラオケ店に行く。


 それぞれ一曲ずつ歌ったところで、さつきが悠の横にべったりと体をつけた。


 「ねえ、悠」


 「あ、ああ」


 「悠ってキスとかしたことある?」


 「なんだよ、まあ、ないけど」


 「私あるよ、でもそれ以上はないんだ」


 「あ、そうなんだ」


 「悠となら全部したいなって」


 「え、ほんとに?」


 「うん、別にしたからって彼女にしてほしいとか言わないよ」


 「さつきはそれでいいのかよ?」


 「彼女にしてくれるなら、嬉しいけどさ」


 「彼女かあ」


 「悠はもてるからさ」


 「もてるってことはないけど」


 「そう?さっきから随分とLINEも鳴っているよね、あの子なんでしょ」


 「ああ、まあ、そうかな」


 「でも、遥は私の手の届くところにいるから」そう言って悠のくちびるに指をあてる。


 「さつき、俺」そう言ってさつきのくちびるを奪う。


 「あ、悠」さつきはされるがままにキスをされる。


 

 

 そのまま3時間、2人はお互いの体を求めあい、時間とともに着衣の乱れを直した。


 「私、初めてが悠で良かったよ」そう言ってさつきは、悠のくちびるに自分のくちびるを重ねた。


 2人はカラオケ店を出ると無言になり、そのまま別れた。




 家に帰ると、姉が出迎えてくれていた。


 「なんか不満そうな顔してるね、悠」


 「そんなことないよ、姉貴」


 「どうせ、浮気でもしてきたんでしょ?」


 「え?そんなこと分かるの?」


 「分かるよ、悠のことなら」


 「そうなのか」


 「まあ、気を付けてね、色々と」


 「ああ、分かった」そう言って自室に戻った。


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