2人の夜

 夏帆は部屋に戻った。課題をやったりして時間はあっという間に流れて行った。


 思い切って悠にLINEをしてみる。時間は夜の11時になっていた。


 「まだ起きていますか?」


 ちょっと緊張する、もう寝ちゃったかな?なんだかなれなれしいかな・・・。


 5分くらいすると悠から返事が来た。


 「まだ起きているよ、今通話できるかな?」


 あ!悠君から誘ってくれた。


 「はい、大丈夫です、かけてください」


 着信があり、通話に出る。


 「こんばんは」


 「こんばんはー」


 「悠君まだ起きていたんだ」


 「ああ、夏帆もまだ起きているのか」


 「うん、明日も休みだし」


 「俺も休み」


 「何時くらいまで起きているの?」


 「うーん1時とか2時とか?」


 「そうなんだ?夏帆は12時くらいに寝ちゃうかも」


 「寝てもいいよ、つなげていてあげるよ」


 「え?寝落ちいいの?」


 「いいよ、夏帆と話していたいし」


 「でも、寝息とか聞かれたら恥ずかしいよ」


 「大丈夫だよ、俺の姉貴とか俺の横でがーがー寝ていたりするよ」


 「え、そんなこと言ったらお姉さん可哀そうだよ」


 「うちの姉貴に限って可哀そうとかないから、人生バラ色みたいな人」


 「そうなんだ?」


 「うんうん、けっこう美人だし、巨乳だし」


 「えーなんかそんなお姉さんいたら、悠君の女性に対するハードルかなり上がるんじゃないの?」


 「んー、そうかもしれないけど、夏帆は余裕でハードル超えているよ」


 「そうなの?なんだかありがとう」


 「姉よりも妹が欲しかったんだよねえ、可愛いじゃん」


 「そうかな?お姉ちゃんは夏帆も欲しいよ」


 「うちの姉でよかったらもらって!」


 「もらっちゃおうかな」


 「どうぞ、どうぞ」


 「はは、なんか悠君と話していると楽しいな」


 「え?そうかな?なんだか嬉しいな」


 「明日は何か予定あるの?」


 「明日は友達と5人で遊ぶつもり」


 「いいな、東京だったら遊ぶところには困らないよね」


 「近いと言えば近いのかな?他に住んだことがないから分からないけど」


 「夏帆のところからは郡山が近いんだけど、電車とかすごい待たされるんだよ」


 「そうなんだ?なんか平和そう」


 「平和かなあ、まあ事件はそんなにないのかな」


 「こっちはすごいよ、めっちゃ色んなことがある」


 「そっかあ、東京だもんね」


 「東京だからねえ」


 「夏帆じゃ絶対生きていけないかな」


 「そんなことないと思うよ、住んだら普通だよ」


 「そうかなあ」


 「うんうん、そうだよ!」


 「まあ、悠君がそばにいてくれれば、かな」


 「俺ならいつでも夏帆の近くにいるよ!」


 「夏帆のナイトだね、悠君」


 「そうだね、ずっと一緒にいるよ」


 「ねえ、そろそろ眠くなってきちゃったよ」


 「あ、寝ていいよ」


 「うん、つないでいていい?」


 「いいよ、夏帆」


 「悠君おやすみなさい」


 「夏帆おやすみ」


 無言が続く。夏帆の寝返りを打っている摩擦音が聞こえる。


 しばらくすると夏帆は寝てしまったようでかすかに呼吸の音が聞こえる。


 さてと、何をしようか。悠はイヤホンをしながら迷った。


 時間は12時30分。

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