姉弟

 夏帆かあ、めっちゃ可愛かったな。それに女子高かあ、あまり男子とか周りにいなさそうだよな。


 あ、LINE送っておこう。「今日は楽しかったです。また話そう!悠」と。


 悠君かあ、かっこよかったなあ。本当に来てくれるのかな?でも、キスしたいとか言われたらどうしよう?夏帆は男の子とは手を握ったこともないのだけど。あ、LINEが来てる。


 「夏帆も楽しかったです。」と、こんなものでいいかな。


 時間は夜の7時になっていた。悠が1階に降りると両親と姉が食卓を囲んでいた。


 4人でご飯を食べる。これといった会話もないが不仲なわけでもない。


 食事が終わると部屋に戻った。姉貴がタンクトップ姿で部屋に入ってくる。


 「姉貴はなに勝手に入ってきているんだよ」


 「悠みたいな子はたまに監視しないとね」


 「監視って、何も悪いことしないよ」


 「そうかな?お姉ちゃんの胸元見ても?」


 「べ、別に何も、ないよ」顔を赤くする。


 「悠かわいいんだ、こんなに背が伸びたのに、ね」


 「俺に彼女がいないのは姉貴のせいかも」


 「私の?」


 「そうだよ、姉貴が美人だから、それより可愛くないと付き合いたくないなって」


 「へーそんな風に考えていたんだ、かわいいわね」


 「でも、今日、かわいい子みつけたよ」


 「えー?どれどれ見せて」


 「え、いやだよ、姉貴に見せたらかなりディスられる」


 「そんなことないよ、未来の妹になるかもしれないでしょ」スマホを貸してごらん。そう言って迫ってくる姉の胸が悠の顔に当たる。悠は何も抵抗ができなくなる。


 「この子かあ、可愛いわね」


 「可愛いよ、この子」


 「でも、ちょっと陰キャっぽい?」


 「そうかなあ?普通じゃない?」


 「どこの子なの?」


 「福島だって」


 「福島かあ、遠いね」


 「遠いよ」


 「なんかこの前もいい子見つけたとか言ってなかったっけ?」


 「いや、それは、まあ、色々あったんだよ」


 「色々ねえ」


 「今回は大丈夫だと思うよ」


 「へー、そー」


 「いいよ、もう姉貴と話していてもしょうがない」


 「悠がそんな生意気なこと言っていいの?」そう言って胸を押し付けてくる。


 「わ、だめだよ、姉貴、だめだってば」


 「はいはい、かわいいんだから、頑張ってね」そう言って姉は部屋から出て行った。


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