第2話 甘、尼、海女?!

俺の母親の名前は桐谷玲子(きりたにれいこ)という。

特徴としてはとにかく元気な点だ。

全く持病も無くとにかく本当に元気である。

50代とは思えない程に、だ。

俺は太陽の様なそんな母親に常に入試の時といい助けられている。


顔立ちは若々しい笑顔で30代によく間違えられるぐらい若い。

全てがはっちゃけている。

身長は俺が170なのだが母さんは165有る。

何故か身長が高い。

だけどその秘密は教えてくれない。


ボブの様な髪の毛で俺を愛してくれる。

そんな母さんにリビングにてソファに座り必死に聞く。

一体どうなっているのか。


「いやいや母さん。これは一体どういう事だってばよ」


「あら?貴方に話してなかったかしら。夢ちゃんは貴方のお嫁さんよ」


「いや、その。全く聞いてない.....。で、なんでその.....冴島がこの家で暮らすんだ。向こうの両親には.....」


その言葉を発すると母さんは、勿論、了承済みよ。

とバッチグー的な感じを見せた。

古臭いというか.....ってか。

いや本気かオイ。


俺、思春期真っ盛りの男なんだけど.....。

と思いながら額に手を添えて冴島を見る。

そんな冴島はにこやかにとんでもない事を言った。

俺の手に触れながら、だ。


「お母様。今日からはーくんの部屋で寝ます」


「.....( ゚Д゚)」


「良いわね!それ。でも何も起こさない事よ。まだ貴方達は思春期なんだからね」


はい、と返事しながらはにかんで赤面する冴島。

グッジョブの様な感じで親指を立てる母さん。

いやいやいやいや!?


ちょ。

本気でちょっと待って!

俺の話を聞いてくれ。

冴島の事、微妙にしか記憶にないしアカン。


「いや母さん。そこは止めてくれよ」


「止めないわよ?イチャイチャするのだったら良いじゃない」


「よくねぇよ。こんな美少女に迫られるだけでもヤバイんだが」


「あらあら。あはは」


あはは、じゃない。

冴島は赤面しながら俺を見てくる。

可愛いんだ。嬉しいな、的な感じで俺の手を握ってくる。

俺は真っ赤に赤面する。


「良いわねー。思春期の恋。私の場合は.....」


「母さん。説明は良いから止めてくれ.....」


「なぜ止める必要が有るのかしら?大丈夫よ。いかがわしい事ばかりしないのなら」


そういう問題か。

止める必要性は大だろ。

アンタの息子がガチ破廉恥になったらどうするんだ。


思いながら盛大に溜息を吐く。

すると冴島が俺を抱き枕の様に抱きしめてきた。

ちょ、何だ一体!?


「何だか抱きしめたくなった。えへへ。むぎゅー」


「冴島ぁ!!!!!」


「あらあら。甘えん坊ね。あはは」


母さん止めてくれぇ!

十分すぎる女の子の香りがする!

マジに助けてくれ。

このままではマジに俺の色々がマズい事になる!


「あ、でもはーくん。学校ではイチャイチャは禁止って事を知って」


いきなり冴島がそう言いだした。

人差し指を立てながら、だ。

俺は?!と思いながら冴島に聞く。

どういう事なのか。


「.....え?何でだ?」


「私達の関係が表に出たらマズいからね。お嫁さん候補が家に住んでいるんだよ?それってマズいよね」


「確かにそうだが.....そんなの無茶苦茶だな」


「あはは。それが女の子ってもんだよ」


言いながら唇に指を立ててウインクする冴島。

それから俺にまたスリスリしてきた.....やめて!

このスリスリなんだかマズい気がする!

俺の自我が崩れそうだ。


「確かにね。外に出たらマズいわよね」


「ですね。お母様」


あはは、と笑い合う冴島と母さん。

本当に許しちゃってるんですね母さん。

思いながら俺は額に手を添える。

そして盛大に溜息を吐いた。



この家は母さん、俺、そして父さん。

三人家族だった筈だ。

そんな三人家族の元に両親公認の冴島夢という少女が来た。

何をしに来たのかというと俺と婚約する為。


信じられないと思いながら俺は面白いラノベを読む。

そうしていると冴島が入って来た。

何をしているの?はーくん、と、だ。

下で皿洗いをしていた筈だが。

俺は驚愕しながらラノベを指差す。


「ら、ラノベを読んでいるんだ」


「む。はーくんはキャピキャピの2次元の女の子が良いの?嫉妬しちゃうな」


「いや.....そういう事じゃないんだが.....」


「あはは。だよね」


そして俺の腹に頬ずりをしてくる。

やっぱり暖かいね、と言いながら.....ちょお!?

もう止めてくれ!


思いながら俺は後ろに倒れそうになったので。

前に体制を立て直そうとした時。

そのまま冴島を押し倒した。


「.....!」


「は、はーくん.....顔が近いね」


「うお!」


俺は真っ赤に赤面して驚きながら起き上がろうとした。

のだが、だーめ、と言いながら俺の首に手を素早く回す冴島。

それから、ね?キスしよ、と優しげに笑んだ。

冗談を。


「それとも私とは、きす、したくない?」


「.....!?!」


キス顔を見せる冴島。

美少女って何をしても美少女なんですね。

とか言っている場合では無い。


理性が壊れそうなんですけど。

これは.....いかん。

かなりヤバい。

頭が良い香りでくらくらする。


「冴島.....お前。ファーストなのか?」


「当たり前だよね。君の為にとっておいたんだから」


「そ、そうか。でも、さ、冴島。やっぱりマズい。これは」


「え?何で?」


可愛らしく小首を傾げる冴島。

何もかもがエクスプロージョンしそうなので。

え、何で?じゃないよ。

可愛いなもう。


「冴島。心の準備が欲しいです」


「あ.....それだったら今はしない方が良いね」


それから起き上がる俺達。

冴島は、にへら、としながら俺を見てくる。

惜しかったな、と呟く。


と、取り敢えずは何とか乗り切ったか.....。

思いながら俺は心臓に手を添えた。

そうしていると冴島がニコッとする。


「あ、そうそう。勉強しない?」


「べ、勉強?」


「うん。テスト近いしね」


「.....わ、分かった。するか」


やった。

私、はーくんの横ね、と話す冴島。

はしゃぐ度にその胸がボヨンボヨン揺れる。

デカいな.....と思ったがいかんと直ちに煩悩を打ち消す。

それから頭を掻きながら聞いた。


「冴島。俺ってお前にどんな事をしたんだ?何でそこまで俺を好きになっているんだ」


「.....私は助けられたからだよ」


「.....は?」


「内緒。今は駄目」


と唇に人差し指を添える冴島。

勘弁してくれよな.....。

いちいち仕草が可愛いんだよ。

と思いながら俺は盛大に何度目かも分からない溜息を吐き。

額に手を添えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る