花束の様に咲き誇る優しい君へ
アキノリ@pokkey11.1
第1話 隠された最大の秘密
破魔という言葉と意味を知っているだろうか。
悪魔を討ち滅ぼす為に存在している矢の事であるが.....。
俺の名前は桐谷破魔(きりたにはま)。
16歳、県立高校2年。
そして路傍の石、中肉のガリ。
いやいや、名前が嘘だろって思ったそこのアンタ。
まあ俺の名前で驚かないでくれ。
まさに諸行無常を打ち壊せ、的な感じの意味で付けられたんだ。
でもな、正直言ってこの名前は俺はあまり.....好きでは無い。
何故かって?
だってな.....悪を討ち滅ぼすんだろ?
なのに俺は不良に囲まれている少女を助けれない様な根性無しに育った。
どうしたもんかね。
根性を持ちたいもんだ。
と思いながら俺は学校の窓から外を見る。
今の時期は4月だ。
桜もそこそこに散ってしまいの日。
特徴的な婆ちゃん譲りのクリクリした黒髪を弄りながら。
俺は欠伸をする。
今日の天気は快晴。
まさに運動日和って所だが.....俺は運動は嫌いだ。
だから動いたりはしない。
さて、今日も授業が始まる。
ガラッ
「よーし。お前ら。ホームルーム始めるぞ」
体育教師の吉永が入って来る。
女性で有りながらも男の様な.....そんな奴だ。
俺はそんな吉永を見ながら扉に注目する。
そこに.....何だか知らないが黒髪の美少女が立っていた。
俺は何だろうと目を丸くする。
クラスでは既にザワザワし始めた。
美少女は転校生だろうという感じで、だ。
吉永がバァンと出席簿を教卓に叩き付ける。
「お前ら。煩い。紹介すっから待てコラ」
「「「「「は、はい.....」」」」」
待てコラってwww
そんな吉永の長い髪が揺れる。
俺はその姿を見ながら相変わらずだな。
と思いつつその美少女を見る。
すると教室に入って来た。
「じゃあお前ら。紹介するぞ。今日からこのクラスに転入して来る.....冴島夢(さえじまゆめ)だ」
遠くに居たから美少女だと思ったが。
教壇に立つとこれまた相当な美少女であった。
俺は驚愕しながら見ていると。
教室中が爆弾が爆発した様に男子が騒ぎになった。
核爆弾でも爆発した様に、だ。
「「「「「うおおおお!!!!!」」」」」
そして吉永がまた教卓に出席簿を叩き付ける。
それでまた静かになる.....ってかこれの繰り返しかよ。
思いながら苦笑する。
相変わらずだな、と思いながら、だ。
「それじゃ、冴島。自己紹介」
「はい。.....えっと」
声まで可愛いな。
思いながら俺は驚く。
そして冴島という少女は背後の黒板に名前を書き記した。
冴島夢、とだ。
それからニコッと笑みを浮かべる。
黒の長髪。
そして前髪をひまわりのヘアピンで留めている。
それからスタイルも抜群であり。
胸も大きい。
完璧だと思う。
これで成績も優秀なら抜け目が無い。
「可愛い!可愛い!」
「ヒャッハー」
「イェー!!!!!」
ホモサピエンスか何かですかね?
考えながら周りを見渡す。
勘弁してくれよこの猿ども。
また教卓からスゲェ音が鳴るから止めてくれ。
思いながら溜息混じりに俺は外を見た。
「.....」
まぁ俺には冴島とは何も起こらない。
関係ないと思ったのだ。
だから俺は外を見る。
そうしていると吉永が、んじゃ席は桐谷の隣な、と言う。
え?は?
「.....」
「.....」
「.....」
俺を無言で威圧するな。
好きで決めた訳じゃねーよ。
思いながら居ると横に美少女がやって来た。
そしてまさに律儀に座る。
それから俺を見た。
「宜しくね」
「.....あ、ああ。まあ宜しく」
何であのカスの隣?
的な感じで見るの止めてくれ。
ヤバイな.....俺の平穏なボッチ生活が影響を受けている。
この女の子.....苦手だ。
その様に少しだけ苦手に考えて居ると吉永に声を掛けられた。
「桐谷」
「.....何ですか?先生」
「学校案内してくれ。冴島に」
「.....ハァ!?」
爆弾が起動した。
何だって俺!?!?
と思いながら愕然とする。
すると吉永は、だってお前隣じゃないか。宜しくな、と言う。
嘘だろオイ。
「えっと、宜しくね。桐谷くん」
「.....は、はい.....」
こうして俺の学校生活はマジに侵食されつつあった。
冴島という有害物質に、だ。
俺は盛大に溜息を吐く。
だが.....物語はこれで終わりでは無かった。
☆
「.....散々な目に遭ったんだが.....」
チャリを動かしながら高校からの坂道を降って行く。
クラスメイトからはマジに憎たらしいな。
という感じで見られるし。
マジに終わったかもなこれ。
勘弁して下さい。
「.....まあ関わりさえ無ければ.....大丈夫.....だよな?」
俺は空を見上げながら涙を拭う。
平凡な日々が遠ざかって行く.....と思ったのだ。
盛大に溜息を吐きながら河川敷を超えて行って。
そして自宅に辿り着いた。
二階建ての一軒家の家に、だ。
「.....せめて家ぐらいはゆっくりしたいよな。ハハハ」
さてさてチャリを直して家に帰ったら何をしようか。
冴島の事を忘れたい。
あんなに美少女だが苦手だ。
ラノベでも読もう。
思いながら、ただいま、と家に入る。
「.....ん?ローファー.....」
何故か玄関にローファーが有った。
そしてそれは律儀に揃えられている。
俺はリビングを一瞥して、まあ来客ならリビングに入らなくていっか。
と思いながら部屋のドアを開ける。
そして顎が、鞄が何というか手元から落ちた。
「.....あ!やっと帰って来た。お帰り。はーくん」
ライトノベルを寝そべって読んでいる.....冴島が居た。
こっちを見て満面の笑顔を見せる。
えへへ、と言いながら。
ちょっと待って。
え、ちょっと待って。
マジに何かおかしいんだけど。
これは一体?夢?
「はーくん。えっと、約束を果たしに来たよ」
「.....え?は?.....ha?」
「お嫁さんになる夢だよ。君と約束したからね。だからこの家に私、住むんだ」
起き上がってゆっくり俺の手を握ってくる美少女。
ちょっと待って。
何?約束?住む????!
え、は?!!?!嘘だろ。
俺は赤面しながら美少女の手を見る。
優しげな肌をしているってそんな問題じゃない!!!!!
「はーくん。大好きだよ。愛してる」
「おま、お前!?え!?」
何をするんだ!
そして俺を抱き締めた冴島。
ニコッとした美少女。
えっと甘えて良いかな?と言ってくる。
かなり石鹸のいい香りがするってそんな問題じゃねぇよ!
マジに何が起こっているのかさっぱりなんですけど!?
家帰ったら美少女居るし!?
「さ、冴島。一体何が.....お前は何故この場に.....!?」
「忘れたの?私を。お嫁さんにするって。昔約束したよね。成長したから来ました!あはは」
「俺が?!?ボッチの!!?俺が!!?お前を?!」
「うん。えっとね。私達の婚約指輪も有るよ」
目が点になる。
は、は、ハァ!!!!!!!!?!
えっと、ごめんなさい。
思考回路がマジにパンクしそうです。
俺は真っ赤に赤面して愕然として冴島を見る。
すると冴島は何を思ったのか。
「スリスリー」
「やめろお前!?甘えるな!」
「だって私のはーくんだもん。スリスリー」
ニコニコしながらそんな事をする冴島。
俺の腹に頬擦りしてくる。
母さん!!!!!何がどうなっているのだ!
アンタ居るんだろ!?
マジにウッソだろ!
まるで猫みたいに擦り寄ってくるぞこの子!
助けてぇ!
☆
そしてこうして。
俺と冴島の家だけの。
限定で甘々な生活が始まった。
まるでそう。
猫と飼い主の様な。
そんな感じの、である。
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