【桜祭り編】1.小さな背中
毎年、春に行われる祭り『桜祭り』
夏祭りとは違って、大きな花火は上がらないが、ここに来ている人達にとって花火が上がるか上がらないかはどうでもいいことなのだ。
ただ、友達、家族、あるいは恋人と大切な時を過ごすため。
大事なのは何をするか、ではなく誰といるか。ここに来ている人達は皆そう考えているのだろう。
***
八年前 四月一日 とある場所
「春奈ちゃん、段差あるよ」
そう言って小さな手を貸す男の子。
その手を取る小さな女の子。
「ありがとう。春太くんってやっぱり優しいよね」
「そ、そうかな?」
「うん!絶対そう!」
「そう言われると嬉しいなー」
男の子はキラキラした目で見つめられると、頬を夕暮れのように染める。
二人で小さなベンチに腰をかける。
「ねえ春太くん」
女の子も少し顔を赤らめながら話し出す。
「なに?春奈ちゃん」
「大きくなっても絶対に毎年二人で来ようね!」
「もちろん!」
男の子も女の子も嬉しそうに小指を交える。
そして大きな桜の木の下で、彼らは小さな約束を交わした。
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