「別れ際、もっと好きになる」(乃木坂46)

 つまり「別れ際」には魔物が住む。

 恋愛において、別れ際は筆舌に尽くしがたい。また会えないわけじゃない、すぐにでも会えるはずなのに、どうしてか別れ際に感じる、切なさ、苦しさは、他に並ぶものがないほど強烈に心に迫る。これが愛情や恋情の一部なんだろうけど、どこか「独占欲」にも近い気がする。しかも、裏切られることが確実な独占欲、というか。これがあるから、人と人は本当に寄り添おうとするのかもしれない、と思ったりもする。

 全く別の側面から見ると、別れ際に「行かないで」と口にする人としない人はいると思う。僕自身は言わないかもしれない。いや、場合によりけりか。純粋な感情の高ぶりだろうか。というか、先に言ったもの勝ち、みたいなところはあるかもな。あまり変なことも書けませんが、女性の「行かないで」でご満悦、という男は大勢いるでしょう。でも「行かないで」と言っている女性からすれば、平気で去っていく男は、それこそ可愛さ余って憎さ百倍、みたいなるのかもしれませんけど。

 最近では比較的、普通の表現になりましたが、人を評して「重い」という言葉を選ぶことがありますね。不思議と、昔は「軽い」という表現の方が目立っていて、時代とともに人間の様子や人格の判断、評価が変わってきたのかもしれません。僕は「重い女性」はそれほど嫌ではありませんが、さすがに重過ぎると……、と勝手なことを考えてます。さて、僕は重い男だろうか、軽い男だろうか。

 ただ、僕も結局、別れ際に相手の大切さを思い知るわけで、達観したようなことばかりは言っていられません。

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