「なぞの落書き」(乃木坂46)
この曲はもう光景がすぐ浮かびますね。もう学校を卒業する、卒業式の後に、自分の名前が落書きされている、というそれだけで、想像が膨らむこと膨らむこと。この曲の歌詞の視点の女の子の困惑が、決して気持ち悪がっているようではないのは、その文字の筆跡で、実は誰が書いたか、分かっているのかな。そうでなければ、この場面の前の時間で、仲の良かった男の子がいたのか。
この歌詞世界の「学校を去る」という場面設定が、本当に巧妙で、つまり大きな何かが区切られてしまって、もうそれまで一緒にいた人と離れ離れになる、という状況が、歌詞世界の切実さ、切なさを演出していると思います。最後の最後にこんなことして、後ろ髪を引かれる思いや、もう明日には会えないという後戻りできない場面、なんかこのシチュエーションだけで、僕としては胸が熱くなります。
学校って、本来は一つらなりに流れていて途絶えるはずのない「時間」というものが、六年、三年、三年というように刻まれてしまって、二度と会えなくなったり、逆にいきなりの出会いがあったりして、それでいて社会の大勢が共有して共感している世界や時代でもあって、なんか特別なんですよね。世界が変わってしまう、というか。しかし変わる前の世界も変わった後の世界も、見ず知らずの人、はるか離れた人と不思議と重なる部分がある。
どこの学校にも、こっそりと落書きがあって、それは何年経っても残るんだろうなぁ。
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