第32話 召喚

 勇太たちが早々と眠り、町の外に出るとそこはすでに真っ暗であった。

 町の周囲にはちらほらとスケルトンの姿が見える。


 モンスターが町を襲わないのだろうか?

 と先日ターミラの町で町の人に訊ねてみたのだが、どうやら【結界】というものが発動されており、その効果がある時はモンスターは中に入ってこれないらしい。

 ちなみに【結界】のカードはSR。

 効力は1日らしく、大量の【結界】を保管しており、毎日決まった時間に発動させるとのこと。


「さてと」


 俺はステータスを開き、ジョブスキルの【召喚】をタップする。


 召喚:モンスターカードを使用しモンスターを召喚させることができる


 モンスターカードを使う?

 俺はゴブリンカードを《ホルダー》から取り出し、召喚を発動させてみた。


「召喚、ゴブリン」


 バチッとゴブリンカードに稲妻が走り、手を離すとカードの中からゴブリンが飛び出してた。

 カードはふっと消え、棍棒を持ったゴブリンが俺の指示を待つかのように静かに俺の前で立っている。


「なるほど。持っているカードのモンスターを召喚する能力か」


 能力のことは理解した。

 次は、このゴブリンがどれぐらい強いかだ。


「よし。あのスケルトンを倒してきてくれ」


 ゴブリンは頷き、近くにいるスケルトンへと近づいていく。

 スケルトンは接近するゴブリンに気づき、剣を構えてゴブリンと対峙する。


 役に立ってくれたらありがたいが……どうだろう?

 そんな風に考えていたが――俺はその想像以上の実力に唖然とする。


 なんとゴブリンの一撃はスケルトンの剣を粉々に砕き、そのまま頭部までも易々と破壊してしまった。


「おお! 中々強いじゃないか」


 もしかして、+99だから強いのか?

 そう考えた俺は、まだ合成のしていないスケルトンカードからスケルトンを召喚する。


 スケルトンにスケルトンをぶつけてやると――その実力は拮抗していた。

 どうやら俺の予想は正しいようだな。

 合成していないスケルトンはそのままの実力しかない。

 だがゴブリンは合成した分、100体分ぐらい強くなっている。

 ということだろう。


「おっ!? これは嬉しいな」


 《ホルダー》を開いている状態でゴブリンがスケルトンを倒すと、なんと新たにカードをゲットした。

 召喚したモンスターが敵を倒すと、カードは入手できるということか。

 嬉しいな……これは嬉しいな!


 ワクワクしながらゴブリンが戦う姿を眺めていると、ふと距離が離れている時はどうなるのだろうかと気になり始める。

 俺はスケルトンをカードに戻し【帰還】でターミラへと移動した。


 《ホルダー》を眺めていると――なんとカードが増えていくではないか。

 なるほど。距離は関係なく、モンスターを倒してくれたらそれだけでカードが手に入ると。


 俺はまたダラデニーへと戻るとゴブリンをカードの戻し、またまたターミラへと移動した。

 そしてゴブリン、キラービー、トレント、スライム、ウルフの6匹のモンスターを解き放つ。


「よし、君たち! スピリットをガンガン狩りたまえ!」


 俺の命令にしたがい、モンスターたちはスピリット狩りを開始する。

 これで直接モンスターと戦わなくともカードの収集はできるということだ。

 なんというありがたい能力! なんという便利機能!

 ああ。《黒き獅子》を倒しておいてよかった。


 よし。ここはモンスターたちに任せておいて、俺は俺のやるべきことをしよう。

 【帰還】でダラデニーへと移動し、スケルトンに向かって【風術】を解き放つ。


「【ウインドシュート】!」


 風の弾丸がスケルトンの体を木っ端みじんにする。

 レベルを上げるためと【風術】の熟練度を稼ぐため、俺はスケルトンを次々と葬っていき、荒地を駆けに駆けまわった。


 ああ……また強くなっていくであろう自分を想像するだけで心が躍る。


 ◇◇◇◇◇◇◇


 結局、朝方までスケルトンを狩り続けた俺は、召喚したモンスターを回収してから部屋に戻った。


 ステータス画面を開く。


 島田 司

 LV99

 ジョブ  合成師+

 HP  4800(+14400)

 MP  2400(+4824)

 攻撃力 4800(+14400)

 防御力 1600(+4800)

 敏捷  1600(+6400)

 魔力  2400(+5472)

 運   2000(+6000)


 ジョブスキル

 合成Ⅱ 召喚

 武器スキル

 体術 99 弩 99

 アクティブスキル

 火術Ⅴ 99 風術Ⅴ43 回復術Ⅴ 

 心術Ⅴ 99 弱化Ⅱ 15 手加減Ⅴ 27 

 潜伏Ⅴ 99 鷹の目Ⅴ99 帰還Ⅴ 33

 パッシブスキル

 HP増加(特大) MP増加(特大) 怪力 

 鉄壁 俊足 超魔力 

 強運 神の加護 毒無効

 麻痺無効 石化無効 混乱無効

 誘惑無効 病気無効 魔力消費0

 術発動時間0 高速成長


「なんじゃこりゃ!?」


 ステータスが一気に上昇している……

 スケルトンの経験値……アルダイルエリアに入ってからの経験値が急激に上昇したのか?

 後は召喚したモンスターたちが倒してくれた分まで経験値を入手したのだろうと俺は考える。

 休むことなく朝まで狩りをしていたのもあるけど……

 いや、嬉しい限りではあるけども……どれだけ強くなるんだよ!?


 俺はニヤニヤする顔を元に戻すことができず、まだ眠る勇太たちを横目に小躍りした。

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