第4話カラス料理
「今日中に全て解体しますが、我慢せずに解体しながら鍋を食べなさい」
「「「「「はい」」」」」
子供たちがとてもうれしそうだが、それも当然だろう。
俺が狩ったカラスは百羽を超えていて、二十五人の子供たちにしたら、丸々二羽を一人で食べることができるのだから、飢えていたさっきまでとは大違いだ。
さすがに寒村の子供たちだけあって、何もしないで食事にありつけると思っておらず、進んで羽をむしり解体を手伝う。
今まではほとんど使われていなかった寺子屋のゴミ捨て場に、狸の臓物とカラスの羽が捨てられるが、利用できるところは捨てられない。
カラスの肉に限れば、モモ肉・ムネ肉・手羽元・ささ身・心臓・肝・砂肝を焼くか炒るかして食べようと思うが、手羽先を含めた骨は、鍋に入れて出汁をとる。
だが子供たちの空腹が激しいので、山鳥は既に食い尽くされ、獣臭い狸も全部食べられた後で、カラスも羽がむしられ解体される先から塩鍋で煮られ、子供たちの胃におさまっていく。
十羽ほどのカラスが子供たちの胃におさまった頃から、子供たちも空腹感から解放されたのか、カラスの解体に集中してくれるようになった。
俺も多少空腹感を覚えてはいたが、飢えている子供たちより先に食べる気にはなれなかったので、子供たちが満足してからゆっくり食べようと思っていた。
それに、どうせ食べるのなら、美味しく食べたいとも思ってた。
だから、少し年長の子に、俺が食べるカラスを料理してもらう事にした。
狸を煮て獣臭さのある塩鍋ではなく、串に刺して塩焼きにしてもらうのだ。
子供たちがカラスを解体してくれているので、俺は手早く竹を斬って串を作った。
塩が貴重だとは知っているが、美味しく食べたいので普通に使わせてもらう。
腐れ女には思い知らせてやりたいと思っているが、定期的に生活必需品を持って来てくれるという約束をしている。
貴重な毛皮を手に入れたら、換金してくれるとも約束している。
狸が腐れ女の望む毛皮かどうかは分からないが、普通なら価値がある。
その時に塩を手に入れる事は可能だし、腐れ女以外にも行商人が来るはずだ。
それに、これくらい豊かで獣の濃い森なら、明日以降も多くの獲物が狩れるはず。
それと塩は、寺子屋に通う子供たちの実家で交換してもらう事も可能だ
だから、寺子屋の囲炉裏の火で、もも肉と胸肉を遠火の弱火で塩焼きしてもらう。
臭い塩鍋の汁を子供たちに飲み干してもらって、カラスの鶏ガラで美味しい出汁を取り、もも肉と胸肉を煮てもらう。
まだ食べていないが、塩焼きがかたい事も考えられるので、じっくり煮込んで柔らかくしておく事も必要だと思う。
それに、カラス肉は燻製や陰干しにして日持ちをさせようとは思うが、繰り返し煮て数日もたせる事も大事だと思う。
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