第6話一年を振り返って

 よく考えると、別に無理に戦争してまでこの世界に介入する必要などない。

 この世界にはこの世界の倫理や正義があるはずだ。 

 別次元別、別世界の神に無理矢理何かを押し付けられる理由などない。

 まして俺が、そんな糞女神の手先になる必要など全くない。

 むしろ戦うのなら、そんな糞詐欺女神と戦うべきだろう。


 そう思い直した俺は、糞詐欺女神と戦う事を覚悟して、心身を鍛錬した。

 可哀想ではあるが、俺が生き残るために、この世界の動物らしい生き物を狩って、美味しく料理して食べた。

 調味料や香辛料は、糞詐欺女神が約束通り元の世界から運んでくれた。

 誰が運んでくれるのかと思ったら、無人のドローンが運んできたのには笑った。

 日本の食材を頼もうかとも思ったが、金額に上限があるので思い直した。


 魔法袋と言う、長期保存が可能な便利なものがあったので、それに調味料や香辛料と保管して、糞詐欺女神が配送を止める事に備えた。

 その上で、余った時間で食糧を創り備蓄することにした。

 有難い事に、ネットで種や苗が幾らでも購入できたので、一代しか使えないようなハイブリットの種ではなく、長年お百姓さんに伝わってきた、ずっと育てられる種を送ってもらったので、糞詐欺女神が配送を止めても作り続けられる。


 そう思って、考えられるすべての穀物と野菜の種や苗を購入した。

 糞詐欺女神との契約上の金だけではなく、自分の貯金を取り崩して購入した。

 俺が何も動かなければ、何時配送を止められるか分からない危険があったからだ。

 だが糞詐欺女神が言っていた通り、よほど他の世界の事で忙しいのだろう、俺がこの世界で何もしないのに、全く文句を言ってこなかった。


 それを幸いに、エアーズロック城の下に広がる草原を開拓した。

 開拓と言っても、汗水たらして自分の手で農地にしたわけではなく、魔力と魔法を駆使して土地を耕し、草を焼き灰を肥料として、焼き畑農法で雑穀を植えた。

 丁寧な手入れが必要な水田はそれほど広くなく、次世代に育てるための種を増やす確保するために手入れしただけだ。


 それは全ての雑穀も同じで、育てたすべての雑穀からは種になる籾などを確保しただけで、俺自身は一粒も食べなかった。

 全ての種を次世代の栽培用に確保して残してある。

 そして、この世界の自然環境を破壊してしまうかもしれないが、鶉・鶏・矮鶏・軍鶏・烏骨鶏・七面鳥など、手に入れられるすべての有精卵を手に入れ孵化させた

 この世界で養鶏を始める心算で、どんどん増やしている。


 俺自身が何を食べてこの一年を過ごしたかと言えば、この世界の魚や小動物を獲って食べていたが、結構おいしく食べられた。

 糞詐欺女神が言っていた給食もドローンで運ばれてきたが、食べる気にはなれないので、魔法袋に備蓄してある。

 糞詐欺女神と戦う事を考えれば、捨ててしまう事も考えたのだが、どうにも食べ物を粗末にすることができなかった。

 

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