第2話 下調べ

展覧会初日コンは着物展が行われる会場に来ていた。


「やれやれ、4日間ずっと2つの怪盗団を捜査していたが、尻尾を掴めず、孝文刑事達と呑みに行くも、コヨーテがベロベロに酔って大変な事に……それで今度は怪盗団が来るかも判らない所の下見か、はぁ…」


コンは愚痴りながらもパトカーを降り、鍵を閉める。


すると、一人の人物が此方に歩いてきた。


「貴方が、怪盗団特別調査本部のコン警部ですか?」


その初老の男は汗をハンカチで拭いながら言う


「ええ、間違いなく私ですが、貴方は?」


「私は、この展覧会に出展している者です、あの着物は……」


コンは呆れた様子で出展者を見る


「落ち着いて下さい、あくまで狙われている“可能性“があると言うだけです、それを判断するためには、調査が必要です」


「はぁ…」


出展者はイマイチ理解に苦しむ感じでいる


コンはそれを見かねて歩き始める


「では、私は一足先に展示室へお邪魔します」



「ちょ…ちょっと!」


出展者は裏口に向かうコンを追いかける。


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~展示室内~


「これが、最高級の着物、黄竜か……美しいな」


コンはそれをまじまじと見つめ、ガラスを叩く。


「強化ガラス…ねぇ……」


コンはチラチラ室内を見回るとダクトを指差す。


「溶接しろ、」


「は?」


回りにいた関係者は驚きを隠せない様子

コンは落ち着いて説明する。


「アイツら展示物上のダクトから入る、間違いない」


「何でそう言えるんですか?」


「この建物内で唯一安全に近道して侵入出来る通路それがダクトだからだ」


コンはそう言うと時計を見た。


「早く作業しとけよ、客が来るぞ」


そう言い残し、メインホールに向かった


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メインホール(入口)


コンは手帳とペンを取り出し来場客への質問の準備を始める。


定刻になる頃には他の警官、警備員も見回りを開始していた。


定刻通り開場すると人がゾロゾロ入ってくる。


コンはその中の青年一人に、声を掛ける。


「すみません」


「ん?」


青年は振り返る、至って普通だ


「あの、少しお伺いしたいんですけど」


「あ、はい」


少し緊張気味の用だ


「今日はどうしてこちらに?」


「あー、姉が今年成人式でして、着物が実際どういうものがあるのか、というものが知りたいらしくて、今日は姉が忙しいのでこの僕が代わりで行っています」


目が少し動いた、嘘か?


「姉が成人式…はい、ありがとうございます」


ひとまずは手帳に書き込む。


「あっ、そうだ。すみません」


青年が自分から声を掛けてきた


「はい?」


「ここって撮影大丈夫でしたっけ?」


一応大丈夫だったはず……


「あ、大丈夫ですよ」


「ありがとうございます」


コンはその青年を怪しんだ。


(なん、なんだあの違和感、嘘をつくのは年頃の青年だからしょうが無いとしても何か身振りがおかしい、)


コンは近くの警官に声を掛け、持ち場を離れた。


青年は普通に着物の写真を撮っていた


(至って普通、)


そして、黄竜の前に来ると多めに写真を撮る


(まあ、目玉だもんな)


その時、青年が振り返る。


コンは慌てて柱の裏に、隠れた。


しかし、その後青年は怪しい行動は見せず、帰って行った。


「手掛かり無し……」


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黄竜展示室


コンは黄竜の前でセキュリティー管理者の説明を受けていた。


「このセキュリティーシステムの名前はよろず人感センサー、レーザー、ドップラーレーダー等を兼ね備えたシステムです」


「トラップは?」


「百聞は一見にしかず、見せた方が早いでしょう」


管理者がボタンを押すと衣装ケースにシャッターが降りた。


「防弾です、そして、その気になればこの部屋中にEMP攻撃を行えます」


「中々に最新鋭だな、」


コンは一通りメモ帳に書き終える


「では、予告状等が来たら又、お伺いします」


コンはそう言うと展覧会場から引き上げた。


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