第1話 怪盗団特捜部

「昨夜二件の盗難事件が……」


美術館前でテレビアナウンサーが現状を伝える。


そのニュースを横目に喫茶店でコンは始末書を書き終える。


「コンさん、昨夜の事件、残念ですね」


喫茶店のマスターがコップを拭きながら言う


「ああ、奴等のお蔭様で館長から文句言われちまったよ」


始末書をまとめてアタッシュケースに入れる


「それはお気の毒に……所でコンさん、」


マスターはコンが頼んでないコーヒーを差し出して言う。


「マスター……いつもすまないな」


コンはコーヒーを一口飲む


「いえいえ、それと、こちらもどうぞ」


マスターは1枚のパンフレットを差し出す


「着物展覧会、今までになかった高級着物がこの日、あなたの目で見られる……成る程次の標的って訳か、こんなの誰から貰ったんだ?」


パンフレットをアタッシュケースにしまいながら聞く


「鍋島孝文警部から預かっておりました、『コン警部にお願いしますっ!コン警部ならここに来るはずですよね!?ええ!ええ!でしょう!?それでは頼みますっ!』と言って押し付けられました」


「はは…」


コンは苦笑いしながら飲み終えたコーヒーをカウンターに返す。


「いつも場所貸して貰って悪いな、マスターそれじゃあご馳走さん」


「ええ、またのご来店お待ちしてます」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

~警察署特捜部~


ガチャとドアを開けコンは中に入る


「誰も居ない…か」


そう呟くと後ろから抱き付かれる


「コン、お帰り」


「!?!?!!!!??!?」


コンは頭が真っ白になった


え、なんで、どして、んー?、なんでコヨーテが俺に?


抱き付いてきた彼女はアニマルガール、コヨーテ。

アニマルガールながらも警察署内で巡査部長まで這い上がった実力者だ。


「こ、コヨーテい、一体どうゆう…」


「…」


コヨーテは放す気は無いらしい。


「やれやれ、困ったことになったな……はぁコヨーテ頼む、一旦離れてくれ」


「……もうちょっと」


結局2分ぐらいずっとくっついていた。


コンコンと、誰かがドアをノックする


「…どうぞ」


ようやくコヨーテから解放されたコンがドアを開けるとそこには。


「コン警部!資料をお待ちしましたっ!」


「あ、有難う孝文警部補」


コンはファイルを受け取ると顔をしかめた


「2つの怪盗団、面倒臭いな…」


「我々、両方とも逃がしてしまいましたしね……」


孝文が残念そうに言う


「次に狙われそうなのは孝文警部補の持ってきた資料から推察する事が出来た着物展……」


コンは孝文から貰った着物展の資料を思い出す。


「予告状は未だに来てません、彼らがどんな動きをするのか、目的は何なのかハッキリしてないですし予告状が来るまでは打つ手無しって奴ですかね?」


「確かに、ま、俺達がやることはただ1つ」


コンは椅子から立ち上がり言う。


「犯人をとっ捕まえてムショにぶち込んで罪を償わせるだけだ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

~コンのデスク~


(着物展は4日後に開催…流石に初日に入る素人じゃない、はず…恐らく偵察を派遣するだろうまずはそいつを見つけないと)


コンはPCでネットブラウザを開きチケットをポチった。


「待ってろ怪盗団、必ずその尻尾を掴んでやる」


コンは拳を硬く握った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る