第一章 負かす神昇臨
土の中にいる
解放勇者がヒューマン種の都市で新たな生を授かる頃。
時を同じくしてとある存在がこの世界に転移してきた。
彼の名前は森田健。
十二度の転生を経験し、今回初めて異世界転移を行われた存在である。
そんな森田であるが、彼が今どんな状況下と言うと…。
気付けば土の中にいるんだがどうゆうことか?
森田は自身が全く身動きが取れない身であるにも関わらず酷く冷静であった。
考えみて欲しい、夜寝て朝起きたと思ったら、そこは自室ではなく真っ暗闇。
そんな状況の中彼は周囲の状況を把握し、最初の感想があれである。
流石十二度の転生を経験した存在。
死ぬ事に対して恐怖など存在しないとばかりの落ち着き様であった。
はー、と幸せを取り逃しつつ何が起こったのか瞬時に察する森田。
またか…。
またか、そう、またかである。
諦観含みのその感想。転生では無く転移だが十三度目ともなると何とも煤けた感想だ。
転生を繰り返している為、今の彼の肉体年齢は三六歳だが、その魂は四百八十六年自我を保ち続けたもの、つまり精神年齢四百八十六歳である。
幾度も経験した一生と死の経験は、いくら素養があると言っても辟易するには十分な経験だろう。
むしろ、辟易するだけというのが、彼の生きる事と死ぬ事に対する素養の高さを物語っているか。
帝国の最高戦力として使い潰されたり。
クリスタルに見いだされ調停者として奔走したり。
人と竜の橋渡しをしたり。
魔族と人族の戦争を忌避し、新たな国家の礎を築いたり。
疲れたからと、田舎でスローライフを送ってみたり。
輪廻転生から逃れる為に色々と考えていたら、いつの間に神格化されていたり。
元の世界に戻り転生する度、日常を繰り返しながら非日常を経験する年月。
そんな事を経験してきた彼が、これからどういった行動を取っていくのか、実に楽しみである。
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