第3話 俺と姉と麻里亜さん
姉から電話があった次の日の午後5時50分。
俺がいつもより気合いを入れて服装や髪型を整え、10分前行動で待ち合わせ場所のイタリア料理店前に行くと、既に姉の亜美とその友達である麻里亜が待っていた。
「遅い。普通こういうのは、男が先に来て待っておくもんなんだけど。そんなだから彼女出来ないんだよ?」
いや俺10分前に着いてるじゃん!
と、言えるわけもないので、とりあえず謝る。
「ごめんなさい…」
「まぁまぁ亜美ちゃん、私達が早く着きすぎただけなんだし」
そう言って、視線を姉から俺の方に向ける麻里亜さん。
「はじめまして裕太くん。川崎麻里亜です。亜美ちゃんとは同じ病院で看護師をしてます」
俺が謝ったのをみた麻里亜さんが、さりげなくフォローしてくれたうえで笑顔を向けて挨拶をしてくれる。
(か、可愛い…。)
素材の良さを最大限に生かした綺麗なメイク。
艶のある黒髪は後ろでポニーテールに括ってあり、服装は七分丈の白シャツブラウスにフラワーレースのスカートという、シンプルかつ大人なファッション。
そして身長も特別高くはないだろうが、脚が長く胸も程よく出ていて、確かに姉が言っていたようにスタイルが良い。
写真で見た部屋着姿も可愛かったが、生で見る私服姿の麻里亜さんは一段と輝いて見える。
「は、はじめまして。草加裕太です。姉がいつもお世話になってます」
お綺麗ですね。と言おうかとも思ったが、初対面でいきなり言うのもなんか気持ち悪いような気がするので止めておく。
「いやいや、私が亜美ちゃんにお世話になってる方だから笑 それより…ねぇ祐太くん。写真で亜美ちゃんに見せてもらって、カッコいいなぁと思ってたけど、実際に会ってみるともっとカッコいいね!」
おいおいマジか。
これ今、俺、結構グイグイ来られてる?
こんな可愛い人に?
「そんな事ないですよ、俺なんか全然…。というか、その…麻里亜さんの方こそ、すごくお綺麗ですね」
さっきはいきなり綺麗とか言うのは気持ち悪いと思って我慢したが、向こうが先に言ってきたんだから、こっちも言って大丈夫だろう…。
大丈夫だよな?
ふと姉に目を向けると、ニヤニヤとこちらを見ながら、「よく言った」というようにウインクしてくる。
姉ちゃん、やけに黙ってるなと思ったら、俺たち2人の会話を楽しんでやがるなこれ。
「え、そうかな?やだ、裕太くんみたいなカッコいい年下男子にそんな事言われちゃうと照れちゃうなぁ」
頬を赤らめ、うっとりした顔でこちらを見てくる麻里亜さん。
(この人、本当に年下好きなんだな…〕
でも、この感じだったらマジで俺にもチャンスがあるんじゃないか…?
そう考えると、昨日の夜の妄想を思い出して再び股間が反応を始める。
(え、ちょっ、ヤバイ…)
「そ、そろそろ中に入りませんか?」
このままだとまずいので、一旦麻里亜さんとの会話を終わらせ、意識しないように麻里亜さんの方を極力見ないようにしながら2人に問うように聞く。
「あ、確かにそろそろいいかもね。どうする亜美ちゃん?」
「うーんと…55分か。そうね、まだ5分前だけどそろそろ入っても迷惑にはならないでしょ。よし、じゃあ入ろっか」
そうして姉ちゃんが入り、麻里亜さんが入る。
その後ろを、俺はとにかく今は麻里亜さんとの変なことを考えないように意識しながら着いて行った。
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