第2話 俺と俺の姉ちゃん

玲香とファミレスで話をしてから3日が過ぎた夕方。テレビでは夏休み定番の心霊現象特集をしている。

あれから玲香からの連絡は特にない。

俺のアドバイス?が効いたのかはわからないが、上手く割り切れたのなら良いことだ。

あいつなら、またいくらでも出会いはあるだろう。


俺はというと、その後相変わらず家でゴロゴロして過ごす日々。

遊びに行こうにも友達の多くは彼女が居て、やれデートだの旅行だのと忙しそうにしているし、女友達は遊びに誘うほどの関係性でもない。そもそも、その女友達も可愛い子は当たり前に彼氏持ち。俺に入り込む余地はないのだ。


(こういう時やっぱり彼女欲しくなるよなぁ)


とはいっても、暑い中わざわざ外には出たくない。

家で一緒にゴロゴロ出来るような、気を使わなくて良い彼女が欲しい。



プルルルル♪プルルルル♪


そんなことを思っていると、携帯が鳴る。


ー草加亜美

くさかあみ


俺の5つ年上の姉だ。看護師をやっている。


俺は心霊現象特集をやっているテレビを消し、スマホをタップして電話に出る。


「出るの遅いよー。あ、もしかして女の子と励んでたりした?お邪魔しちゃったかな?笑」


開口早々、下ネタで俺をからかってくる姉。

俺達姉弟は仲は悪くない。というか普通に良い方だと思う。だからこうやって電話も結構よくするし、たまにお互いのアパートに遊びに行ったりもする。

ただ、歳が離れてることもあって、姉は俺をこうやってからかうのが大好きだけど。


「悪いけど違う。そもそも相手がいない」


姉のこういうイジリは日常茶飯事なので、俺は特に動じることもなく淡々と冷静に返す。


「そうだったね笑 でもそれならよかった。ねぇ、明日の夜、看護師の友達と新しく出来たイタリア料理店で食事するんだけど、裕太もこない?」


「なんで俺が?」


「それがねぇ…」


電話口で亜美がフッと笑う。


「その友達、麻里亜

まりあ

っていうんだけどね。年下好きなんだけど、今彼氏居なくて。で、私が裕太のこと話してたら『写真見せて!』っていうから、私とツーショットで撮ったやつ見せてあげたの。そしたら『タイプにドンピシャ!もしよかったら紹介してくれない?』って。まぁ、私としたら彼女の居ない弟をもらってくれるんなら良い話かなぁと思って笑」


「マジかよ…。いや、嬉しいんだけど…その麻里亜って友達はどんな感じの人なの?」


大事なのはそこだ。彼女出来たことのない童貞が贅沢言うなという話かもしれないが、やはりどうせなら可愛い人が良い。


「安心しなさい。綺麗で美人なお姉さんって感じの子よ。スタイルも良いし…。私と似て、中身はちょっとエッチだけどね笑 でも遊びまくってるわけでもないし、性格も良い子。だから裕太に紹介したいの」


美人でスタイルが良くてちょっとエッチなお姉さんだと…?


「行く!行きます!そのイタリア料理店の場所は?何時に行けば良い?」


「がっつきすぎ…笑 時間は6時で、場所はあとでマップを転送しておくわ。ついでに、麻里亜の家にお泊まりした時に撮った麻里亜の部屋着写真も送っといてあげるから。見ながらひとりでヤッとく?笑 明日うまくいけば、近いうちにふたりで出来るかもしれないけど」


姉の攻めた発言になんて返そうか迷っていると、姉が続ける。


「じゃあ、明日6時ね。宜しく。おやすみ」


「お、おやすみ」


「あ、麻里亜からしたら童貞ってポイント高いみたいだから。さりげなく童貞アピールしても良いかもよ」


そう言って電話が切れたかと思うと、すぐにマップと写真が送られてくる。

(どんなアドバイスだよ。だいたい、童貞がプラスに働くことってあるのか?…いやでも、処女好きの男がいるんだから、童貞好きな女もいるのか?〕


そんな事を思いながら、先にマップに軽く目を通し場所を確認する。これなら電車で二駅→徒歩5分といった所だろうか。

よし…あとは写真。

俺はパンドラの箱を開けるような気分で写真ファイルを開く。


「これは…ヤバイな」


そこに映るのは、黒髪ロングで色白の綺麗なお姉さんが、モコモコのパジャマを着てカメラに笑いかける写真。


(こんなお姉さんが俺を…?)


まだ会ったこともない麻里亜さんに可愛がってもらう自分を想像し、思わず反応する股間。


(今日は姉ちゃんのいう通り、ひとりでヤろうかな…)


結局俺は、麻里亜さんの写真で妄想しながら2回抜いた。

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