人類暦109年1月8日 最後の時流

[Timeline-2]

「…全ての知的生命体の殲滅完了っと。さぁ作り直すか~!」

「お疲れ様、『王冠ケテル』。こちらの損害は…」

「『基礎イェソド』『知恵コクマー』は数百年の休眠がいるだろうけど、まあ殆ど損害なしと言っていいだろ!ありがとうな、『王国マルクト』」

「えへへ、早く次の仕事に取り掛かりましょ!」


…駄目だな、僕だけ生き残っても意味がない。現人類は再建不可能だ。Timeline-2は放棄


[Timeline-11]

「…チッ、抜かったか。俺らの負けだ、旧人類」

「そのふざけた旧人類呼びもやめていただけますか?まあ、もう2度と口を利けなくするんですけど」

「…絶対にうまくいかないぞ。セフィラと共存なんか不可能だ」

「もういいですよ、『新』人類さん。さようなら」



「何でですかッ…!?僕たちは、あなた達セフィラと共存する為に…!!」

「起こしてくれてありがとー。じゃ、君たちはおやすみ!」


…旧人類側に与しても結果滅亡か…セフィラがどのタイムラインでも厄介だな。Timeline-11も放棄。


[Timeline-19]

「つくづく捨ててよかったと実感するぜ。しょうもない烏合の衆共」

「クリァドが来てからは圧倒的だったな…さあ、残党を殲滅しようか」

「…圧倒的。戦争と呼ぶのも烏滸がましい」



「見つけたぞ。お前が最後の『樹』因子持ちだな」

違う…!僕は君たちの敵じゃない!信じてくれ…

「明確な背信者であろう。しかるべき誅伐を!」

何故だ…何故信じてくれない…!


――クソ、自分が死んだ未来を体験させられる僕の気持ちにもなってくれ…。

ちくしょう、Timeline-19も駄目か…


[Timeline-26]

「両陣営ともに大損害だ。ここらが幕引きだな…」

「そうですね。この無益な戦いに終止符を打ちましょう」



「……俺の願う結末じゃなかった。なあ、俺らは何処でボタンを掛け違えたんだ?」


僕らはは赦されざる道を歩むことにした。失う覚悟も山のようにした。だが…遅すぎた


「ああ…俺はまだ…何もできていないんだ!『王冠ケテル』に触れることすら!……死にたくない、こんな所で終わりたくねェよ……」


――25個潰して、ようやく生存可能…ただ、目的は永劫に果たされない。あと4ラインで、見つけられるか?


[Timeline-30]

「――さあ、旧人類を滅ぼす戦争の幕開けだ」

「セフィラの封印だ!奴らの狙いはそこだ!」

「容易に崩壊を齎す。それが上位者の特権だ」

「おかしいだろ…!何故ボクに従わない!?」


「禁忌など気にしている場合か!あの手だ!」

「旧人類はもろとも自害する気なのかも!?」

「最悪な結末じゃない。俺にはまだ手がある」


「そんな計画、うまく行くわけがないだろう」

「いいか、目的を忘れるな。生き続けるんだ」


「――――これが、『生命の極点』なのか?」


見えた!!…っとと、鼻血が…未来を見過ぎたか。

これから何をすべきかは何も見えなかった。余りにも混雑しすぎていて、観測もままならない。だが、この乱痴気騒ぎグラン・ギニョールを立ちまわらなければ、文字どおり未来がない。

人生で最も困難なミッションだ。やり遂げるしかない。


「僕はクジナっていうんだ。『統一政府』のクァレルさんは、あなたで合ってる?」

「………面白い。共に来るか?」

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