第32話 新しい仲間はモフモフ?

 夕方、真ん中の歯がない少女カエナと坊主頭のサジが今晩の夕食の足しにと頭にツノが生えたウサギを捕まえて来た。


「コイツ一つも言う事聞かないんだ」


しかしウサギかあ正直言って食おうとは思わねえな。

 この子たちは無人島に漂流してもサバイバル生活で生きていけるんじゃないのか?

 ———いやこっちではこれが普通なのかも、きっとオレがまだこの世界での感覚に疎いのかも知れない…


 サジがウサギの胴体とあごを押さえつけるとウサギはビックリしたのか急に両手両足をバタバタし出した。


「コラ暴れるな!」


 カエナが解体包丁を持ってきてゆっくりゆっくりと近づいてサジが必死に押さえ付けている


「キュイーッ」


 震えているウサギと目が合ってしまった。ウサギが助けてくれと目で訴えかけて来た………

 正直、見ていてなんか可愛そうになってきたので

 解放してやるとオレの足元へと近付いて来た。


 突然、オレの目の前に『ツノ兎を眷属化テイムしますか YES/NO』という表示が現れたのでYESを選択した。


『ツノ兎の眷属化に成功しました。仲間にしますかYES/NO』と言うコマンドに切り替わった。


 YESを選択する。


『ツノ兎に名前を付けてください』って表示が出た

 リンクなんてどうだろうか?


「お前の名前はリンクだ、よろしくな」


 名前を決めた途端リンクは体の内側から輝きを放ちツノ兎から暴れ兎に進化クラスアップした。


「キュイ〜」


 ちなみにリンクのステータスはこんな感じだ。

 いきなりレベル10って……

 その後、オレはひたすらリンクを撫で回した。


 ———————————————————————


 凛紅リンク

 蹴り兎(特別種)

 レベル10

 HP99 MP12 SP99

 攻撃55 守り42 敏捷120


 固有スキル

【超加速】


 能力スキル

 チャージ攻撃、二段ジャンプ、警戒

 危険察知、サマーサルト、暗目


 装備

 なし


 称号:なし

 加護:なし

 進化:条件を満たしていません


 ———————————————————————



 村の近くの山林で隠密訓練をするというので参加してみた。


 今日はラッシという鼠人族が師範で生徒は子供達と俺達だった。音を立てずに歩く練習から始まりこの葉の中に隠れたり縄を上手に使って木の上を登ったり、木めがけて手裏剣投げたりした。


 スパイになる訓練だねこれは



 -食堂-

 おかっぱ眼鏡の女中さん達が忙しそうにしている中、風呂から上がって晩ご飯を食べてるオレ達3人

 オレ、ヨッシー、クリフさん、そしてあとからニーヤ達がやって来た。新しく仲間になったリンクと仲良くやってくれているみたいだね。ちなみに晩ご飯の内容は焼き鮭にご飯と味噌汁あとテーブルの真ん中にぶり大根が置いてある。完璧に日本人の食事だよね。


「そういえばさぁクリフさんってご飯大丈夫なの?こっちの人は普通パンだろうし」


「あぁっ確かに最初は抵抗あったんだけど今はめちゃくちゃ好きになった」


「美味いやんなあ焼き鮭にご飯!最高やないか!嫌いなヤツなんかおるかいや!」


 そりゃアンタは日本人だからねぇ……


「ニーヤ、あの魔導書ってまだ読んでるの」


「ええ、いつも寝る前に読んでおりますニャ」


 魔女っ子アンリから貰った魔導書、ニーヤに渡したまますっかり忘れてたよ、まぁでも読んでくれているのだったらいいか。


「別に本くらいいくらでも買えるやろ」


「なぁヨッシー?ふと思ったんだけどさ

 あっちの世界の食べ物、生活用品、武器とかこっちの資源集めて錬金術とかいうので作れたりしねーかな」


「いやそんなん出来るんかなぁ

 出来るんやったらワイ新しい車欲しいな!

 ってアカンやろか」


「イヤ我が主人あるじよもしかしたら可能性はあるかもしれないですニャ、こちらの世界の魔法や魔術、錬金術で合成、分離を繰り返し様々な工程を経て作る事が可能ではないかとおもうのですニャ」


「なんか限りなく未知数な」


「ワイには何のこっちゃサッパリ分からへんわ」


「うむ、色んな所冒険して行ってさまざまな物を沢山見てくれば材料とかもしかしたら何かヒントになるような物くらいはあるかもしれんな」

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