第17話 深い森の奥に住むお婆ちゃん言葉の少女
次の町を目指してクリフさんと山道を歩いていると目の前に年配の男性が倒れていた。
魔物に襲われたのか?———
周囲を見渡して、安全かどうかを確認したあと
年配の男性のそばへ駆け寄ると彼の横に座り、肩を軽くたたきながら声をかける。
しわだらけの顔、ぽちっとした黒目がちの目、禿げあがった額の具合からおそらくは60〜80代くらいの年齢なのだろう。背をまるめてうずくまっている。
「オイ、爺さん大丈夫か?」
年配の男性………爺さんの顔は青く腫れていた。
「ふむ、コレは————
マサ君、どうやら彼は魔物に毒液をかけられたようだな、この辺りで毒を持っている魔物といえばマイコニドか
「そ……そうなんだ。まぁとにかく放ってはおけねぇな、とりあえず体力だけでも回復させてやろうか」
爺さんに
「だ…大丈夫か!マサ君もう少し薬をくれ」
クリフさんが声をかけると爺さんはニコリと微笑み、
ブルブルと震える手でオレの肩を掴んだ。
「ゴフッ……もう大丈夫! すまない旅の方ありがとう」
爺さんの名はキリスというそうだ。
彼はどうやら
「うむ、深い森の奥に住む古の魔女か? 確かにそのような伝説は聞いた事があるな」
「ゴフッ!……実は……ワシが10歳の時にこの森で迷子になった時、助けて頂いた事があるんじゃよ」
「ふむ、キリス殿はその魔女とは一応面識はあるのか………ならマサくん、私たちもついて行ってみないか?」
「そうだね。彼をこのまま放っておくわけにもいかないしね」
オレ達はヨタヨタと杖をついて歩くキリス爺さんが心配なのでついていく事にした。それから2時間ほど彼の記憶を辿って山道を歩き続けた。
「キリス殿、森の魔女と出会った者がいるという話など私は1度も聞いた事がないんだが」
「魔女様に助けて頂いた後、村に戻ったあとで両親や大人たちに説明したが誰も信じてくれなんだがな………それどころか何処からかウワサが広がり近所の子供たちにまで「ホラ吹きキリス」とか呼ばれてよくからかわれた。それ以来ワシは2度と魔女様の事は口にせなんだ」
まあそれじゃあ誰にも話したくもなくなるわなー
さらに深い森の奥を歩いて行くと急に辺りに霧が立ち込めて来た。表示していたマップに突然おかしなバグが発生したのですぐに閉じた。
「何だよこの霧は?」
「これはあの時と同じ状況じゃ……」
「ふむ、そうなのか」
「ハイ、あの時……も霧が立ち込め…た後に魔女さまが現れました」
キリス爺さんはクリフに寄りかかりそのまま気を失った。
「ふむ、どうやらここまで来るのが体力の限界だったみたいだな」
「クリフさん、そのままキリス爺さん頼める?」
「任せてくれ」
クリフさんがキリス爺さんを背負い、再び深い森の奥を歩いて行くとこじんまりしたトタン屋根の家がポツンとあった。しかもドアが開いていたのでオレ達は家に入る。そりゃやっぱり勝手に入っちゃダメなんだろうけどこの爺さんの毒を何とかしてやりたいので治療を求めて玄関に入ると奥の部屋にはローブ姿の可愛らしい幼い女の子がソファに腰掛けていた。魔女の従者かな?
それにしてもこの子供、何歳くらいだろう小学3年生くらいかな?
ふと気がつくと幼い女の子は俺の目の前にいた。
アレ、今ソファに腰掛けてたよな?
幼い女の子とオレの目が合いスツと右手を出して来た?
「そこの可愛い坊主やそれは何じゃ?なかなか美味そうな食い物を持っておるようじゃのう、どれワシに寄越すのじゃ」
ぼっ……坊主だって? いやっ誰がどう見ても目の前の少女の方が明らかに幼いだろ!つーか何で
そう思った矢先、幼い少女は飛び上がり何故か俺の所にダイブして来た。
「よこせ!」
結局この幼い少女は俺の膝の上に乗り、もの凄い勢いでチョコ菓子をバグバグ食いまくっている。口周りにチョコレートを付けたまま……
「のう坊主やおぬし名前は何というのじゃ」
俺はこの幼い少女の頭を撫でながら答える。
「俺はマサキだよ」
「おうマサ坊かワシはアンリと申すのじゃ
ちょっと訳あって今だけこの森に住んでおる魔女じゃよ。んでおぬしらは一体何故ここに来たんじゃ?やはりそこの毒を受けた男の事でかえ?」
魔女?この子供が?まさか?
「そうだよ」
「うむ、お主らから強引にお菓子ももらったしそれくらいならかまわん。そこの2つ目の棚の中にワシが育てた毒消草がいくつかあるので使うてええぞ」
爺さんの毒の治療が終わり、クリフさんはキリス爺さんの事が心配みたいなので奥の部屋のベッドで眠っている彼の隣にいた。俺は1時間程この自称魔女っ子のアンリとお菓子を食べながら一緒にいた。
何故かアンリは俺をジーっと見つめてくる
「そうか森の神々がワシの願い聞き届けてくれたんじゃな」
願い? 何言ってんだこの
この近くに町は無いかと訪ねると馬車で数時間のところにモンテーヌという町があるそうなのでとりあえずそこへ寄ってみようかと話していた時、汚いボロボロの黒い野良猫がお菓子を欲しそうに家に入って来た。
「何じゃこの子汚い野良猫はワシとマサ坊の楽しい時間を邪魔するでないぞ!何の用じゃ」
俺はアンリを右手で遮り、野良猫を撫でた。
「なんだ欲しいのかいいよホラ」
「ミャー!」
オレがスナック菓子あげると猫はバリバリ食べ出した。野良猫はどうやらスナック菓子が気に入ったらしい。野良猫の頭を撫で抱き締めてやると野良猫はオレに懐いて来た。それを見たアンリは俺と野良猫の間に入って来て……
「コラっそのポジションはワシじゃぞさっさと退くのじゃ」
俺はアンリの目を見て
「ダメだよアンリ! 動物をもっと大事にしなきゃ」
アンリのその目はウルウルしていたので落ち着かせようと頭を撫でると彼女の顔が真っ赤になり、俺に抱っこを催促して来たので抱っこしてあげた。
「おーっキターっ! 待っておったぞー!!」
「えっ? 何?」
「お主は動物に優しいの、これがお姫様抱っこというヤツか!良いぞ!良いぞ! さあマサ坊よもっと顔を近付けるのじゃ」
何なんだこの子供は?よく分からないが俺が顔をアンリの前に近づけるとブチュっとキスをして来た。
「んっ??」
なっコラ何するんだこの子供は??
「決めたぞ!ワシはマサ坊と結婚するぞい!のう
コレをお主にやろうワシとお主の愛の証、魔物に優しいお主の今後の冒険にも役立つ結婚指輪じゃ」
おっ…おままごとのつもりなのか?
俺は突然の事で一瞬頭が真っ白になった
今自分の目の前に何が起きているのか
もう訳が分からない??
「ではマサ坊にはさらにこれもやろうぞ、ワシからのプレゼントじゃ!」
えっ、目の前に突然本が出て来たぞ?
「それは魔導書といって魔法を覚えるための本じゃ
お主らの今後の旅に役立てるが良い」
「ありがとうねじゃあアンリがもっと大きくなったら結婚しちゃおうかな」
オレがそういった瞬間、アンリは大喜びしていきなり野良猫と踊り出した。
ちなみに貰った魔法書なんだが何かの皮で作られた表紙だがとにかく硬い、パラパラとページをめくって見たんだけど何も書かれてない。白紙だった。
全く意味が分からん? 一体何の役に立つんだよ?
とりあえずステータスを開いてアイテム欄を確認してみるとどうやらテイムの指輪という装備すれば魔物を使役出来るようになるという便利な物を貰ったらしい…
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