第16話 旅の仲間



 ケルトブルクを出て30分ほど歩いてようやく人気の無い所に来た。

 魔法袋マジックバッグから原付を出してエンジンをかける。


 馬車で2日ほどの距離も原付なら1日かからないくらいで着けると思っていたが甘かった。

 ある程度舗装された道なら走れるのだが山道となると話は別だ。街道をそれるとほとんどがそういった獣道だった。ああ、オレの読みが外れた。


「それにしても星がこんなにハッキリ見えるなんてな、都会じゃあり得ねえわ」


 空を見上げると夕方にもかかわらず、もうすでに星々が見え始めている。

 文明は前のオレの所の方が進んでいるようだが、星空はこの世界の方が綺麗だ。


 とりあえずテントを張って休もう———


 元の世界のアウトドアスポーツ用品店で買ったテントは想像以上に快適で、ゆっくりと睡眠を取ることが出来た。


気分も一新したので、獣道に戻るために歩き出す。

少しすると気配を感じ、ガサッと茂みの方から音がしたので魔物かもしれないので木の影に身を隠して、周りを確認する。


少し離れた場所に、1人の男性の姿が見えた。


 オレは持っているスリングショットを構える。


「オイオイ、私だよマサ君!」


 なんとクリフさんが森の奥から現れた。


「えっクリフさんなんでこんな所にいるの?」


「うむ、宿へ会いに行ったんだがすでに立った後だと言われて走って君を追いかけて来たのさ」


 イヤ、野郎に追いかけられてもなあ

 つーかケルトブルクからここまで走って来たって?

 オイオイ何キロあると思ってんだよ。


「オレとクリフさん、かなりの距離があったハズだけど一体どうやって見つけ出したの?」



「そりゃ、私は狩人だから探知スキル、あと足跡とかもあるがなによりも狩人からは逃げられない

 ……それに」



「それに?」


「マサ君、どうやらつけられていたようだな」



 茂みの中から二足歩行する犬のような姿をした人型の魔物が6匹現れた。


「コボルトだ。マサ君は私の後ろへ」


 コボルトどもは剣を振りかざし、オレ達に襲いかかって来た。

 オレは魔法袋マジックバッグから「狐火」と書かれた札を選んで投げつけ奴らに向けて放った。


 コボルトどもの周りに青い炎が現れユラユラと取り囲み、それがコボルトに触れると大きな火柱がたった。


「す、すごいなコレはマサ君の魔法か?」


「魔法なんて使えないよ。コレはオレが持っている魔法具の一つなんだ」


 炎が消えるとコボルトは跡形もなくなっていた。

 


 そういえばクリフさんって冒険者じゃないのか?

 ちょっとステータスを見せてもらうよ


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 クリフ・オルヴァン

 種族 人族

 クラス 狩人


 レベル 32

 HP370 MP125 SP176

 攻撃190 守り178 速さ250



 能力スキル

 弓術、暗視、薬学、剣技、

 毒耐性、麻痺耐性



 装備

 森人の弓矢、森人の首飾り、旅人の服


 加護 : 森の妖精の加護

 称号 : 森人の友人

 進化 : 条件を満たしていません


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 オレの札も残りあと数枚しかない、これがなくなればオレには戦う術がない。今のこの状況ではクリフさんは絶対に欲しい逸材だ。


「まあとりあえず飯にするから上がってよ。」


 それから、オレは飯をクリフさんに振る舞い

 彼の話を聞いた。


 彼は昔からずっと地元で狩りをしていたそうだがそろそろ別の場所を回って見聞を広めたいんだそうだ。


 オレはクリフさんに転生した両親に会う旅をしている事を伝えるとぜひ一緒に旅がしたい、オレに協力したいと言ってきた。

 


 よーし、仲間ゲットだぜ〜♪

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