第13話 アジト潜入
パトリスさんが街へと戻った後、中央の天幕では何やら作戦が決定したらしい。1時間後、騎士団とA〜C級冒険者達で突撃をかけたあと残りのD〜E級冒険者に第二陣として参戦するんだとか
あと他の街の応援連中は後方支援だって…
「オレ、ちょっとアジトに潜入してくるわ
捕まっている連中の事も気になるし……」
「え、何を言っておるのだマサキ殿、むざむざ殺されに行くつもりか?」
「大丈夫、オレ透明になれる魔道具を持っているし
それにちょっと様子を見てくるだけだしね。
マルグリットさんにはこれを渡しておく、遠く離れた場所からでも会話が出来る魔道具だ」
「何、そんな物があるのか?」
こっちの世界に来る前に用意しておいたトランシーバーを出しマルグリットさんに渡す。
「何だ。その黒い石のような物は?」
「コレで連絡を取り合うんだよ」
電源を入れて彼女に使い方を教える。会話するだけならボタンを押すだけだから簡単だ。
――そして夕方。
空が暗くなる頃、彼女達は行動を開始した。
オレも護身用の札「隠密状態」を発動! その瞬間、まるで風景に同化するようにスーッと消えた。周りは誰も気付かない、オレは自分の姿が消えた事を確認し、ホッと胸を撫で下ろす。
もうすでに森の中は暗いのだが、皆夜目がきくのか月明かりを頼りにアジトへと向かっている。
その後に続く騎士達、不慣れな感じだなぁ
アジトまで500メートルほどの地点で足を止めて
シーフ2人を斥候として放ち、暗闇の中1時間程じっと待っていると彼らが戻って来た。
彼らが言うには洞窟の中には誘拐された人々が30人ほどいるらしい
彼らは20分後に突入するそうなので先に洞窟の中に入り捕まっている人達を解放する事にした。
洞窟の前に見張りが2人いるがやはりオレの事が見えないのか無反応だった。内心、少しドキドキしていたが、周りの反応を見ている限り、どうやら本当にオレの事をまるで視認出来ていないみたいだ。
洞窟の中へ忍び込めたのであっちこっちを物色する。
ゴツゴツとしたねずみ色の岩で形成された洞窟は
天井までの高さが四、五メートルほどもあり奥にはどこから盗んで来たのか金銀財宝を置いている部屋があった。
よし、コイツはお先に
奥の部屋へと歩いて行くとやはり手を縛られている老若男女が30人ほどいた。
オレは姿を現し、彼らに声をかける。
「大丈夫かい、近くの街からアンタらを助けに来たんだ。もうすぐ討伐隊がここへ攻め込んでくる」
「ほ…本当かい」
「俺たち助かるのか?」
オレは持っているナイフでみんなの手を縛ってる縄を切った。
あとついでに怪我をしている人もいるのでセヴランからもらった
オレは
「コレを身を守る武器として使ってくれ」
使い方を説明していると何やら外が騒ぎ始めた。
どうやら冒険者達が襲撃を開始したみたいだな。
よし、なら行動開始だ。
オレは「隠密状態」の札を使って彼らを透明化する。もちろんオレ自身もね!
みんな突然姿が消えたので驚きの声をあげ出した。
「シー! 今オレがみんなに透明になる魔法をかけたんだ。さあこれから洞窟を出るぞ」
■
洞窟の奥、山賊の頭リーダーであるダキルスは
三角形の水晶を満足そうに見つめている。
先月、旅の商人を襲い、彼らから奪った宝の山の中にこの水晶が紛れ込んでいたのだ。
ピーピー煩かったのでその場で殺した商人どもはこの水晶にはドラゴンを呼び出す事ができると言っていた。
「お頭、大変だ。冒険者どもが攻め込んで来やがったーっ!」
「お頭ーっ!奴らが……奴隷供の部屋がもぬけの殻です」
「お頭!、宝が! 宝が!何者かに盗まれてる」
「なに、冒険者どもめーっ! 舐めた真似しやがって
この水晶を使ってドラゴンどもを呼び出して奴らにけしかけてやるぜ。さあ地竜どもよ我らの前に姿を現し外のヤツらを皆殺しにしろ!」
ダキルスは水晶を掲げると強烈な光を放ち、その場にいた者達は視界を遮られた。
数秒後、ダキルス達が目を開くと目の前にはなんと、3匹の地竜が現れ、すぐ目の前にいた野盗を襲い始めた。
「ゴァァアアアアアアア!」
「うわぁああああああ」
「何だ!コイツらオレたちに敵意があるぞーっ!」
「ハアふざけんなよ、使い魔とかそういうんじゃねぇのかよ!チクショウ、ま……まさかただ封印していただけなのかよ……」
「お頭はやく逃げましょうや!このままじゃコイツらに喰われちまうぜ」
地竜どもを見たダキルスたちは恐怖のあまり洞窟から必死で逃げだし始めた。
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